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07月21日-03号

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  1. 高知県議会 1998-07-21
    07月21日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成10年  7月 定例会(第247回) 平成十年七月二十一日(火曜日)             開議第三日---------------------------------------出席議員 一番 川田雅敏君    二番 黒岩直良君 三番 浜田英宏君    四番 樋口秀洋君 五番 山本広明君    六番 植田壮一郎君 七番 門田盛一郎君   八番 武井啓平君 九番 中野善弘君   一〇番 藤戸 進君 一一番 森 雅宣君   一二番 雨森広志君 一三番 西尾一雄君   一四番 東川正弘君 一五番 溝渕健夫君   一六番 元木益樹君 一七番 依光隆夫君   一八番 土森正典君 一九番 西森潮三君   二一番 結城健輔君 二三番 西岡寅八郎君  二四番 小松 雅君 二五番 伊野部武男君  二六番 広田 一君 二七番 朝比奈利広君  二八番 池脇純一君 三〇番 中沢潤二君   三一番 米田 稔君 三二番 牧 義信君   三三番 塚地佐智君 三四番 梶原守光君   三五番 田頭文吾郎君 三六番 田村輝雄君   三七番 森田益子君 三八番 井上自由君   三九番 川添義明君 四〇番 市川精香君   四一番 江渕征香君 四二番 熊井一夫君欠席議員 二九番 猪野茂行君---------------------------------------説明のため出席した者 知事      橋本大二郎君 副知事     河野八朗君 出納長     鍋島孝雄君 総務部長    高尾和彦君 企画振興部長  島田一夫君 健康福祉部長  山崎淳一君 文化環境部長  兵谷芳康君 商工労働部長  川村龍象君 農林水産部長  安部 望君 土木部長    井添健介君 国体準備局長  西本 浩君 森林局長    山本忠道君 海洋局長    森光 稔君 港湾空港局長  宍戸達行君 企業局長    若山 隆君 病院局長    須藤 明君 教育委員長   宮地彌典君 教育長     吉良正人君 人事委員長   上谷定生君 人事委員会        小松正典君 事務局長 公安委員長        中村哲男君 職務代理者 警察本部長   大園猛志君 代表監査委員  山本正和君 監査委員        松岡召一君 事務局長---------------------------------------事務局職員出席者 事務局長    林 宏興君 事務局次長        山崎宣生君 兼調査課長 議事課長    井上 健君 議事課長補佐        森岡満明君 兼記録班長 調査課長補佐  北 俊介君 主幹      浜口佐知君 主幹      佐竹あき君---------------------------------------議事日程(第3号)   平成10年7月21日午前10時開議第1 第1号 平成10年度高知県一般会計補正予算 第2号 県立大学の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第3号 地方自治法第二百三条に規定する者の報酬、期末手当、費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例議案 第4号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第5号 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 選挙公報の発行に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県議会の議員及び高知県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 保健婦、助産婦、看護婦等養成奨学金貸付け条例の一部を改正する条例議案 第9号 改良普及員資格試験条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県収入証紙条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案 第12号 高知県有料道路料金徴収条例の一部を改正する条例議案 第13号 公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第14号 公立学校職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案 第15号 高知県監査委員に関する条例の一部を改正する条例議案 第16号 高知市と南国市との境界の一部を変更する議案 第17号 公平委員会の事務の委託を受けることに関する議案 第18号 県有財産(事務用機器)の取得に関する議案 第19号 宿毛湾港整備工事請負契約の締結に関する議案 第20号 東洋町特定環境保全公共下水道甲浦浄化センター建設工事委託に関する基本協定の締結に関する議案 第21号 有料道路「高知桂浜道路」、有料道路「浦戸大橋」及び有料道路「仁淀川河口大橋」の事業の一部変更に関する議案 第22号 退職手当の額の決定に関する議案 第23号 退職手当の額の決定に関する議案 報第1号 平成9年度高知県一般会計補正予算専決処分報告 報第2号 高知県税条例の一部を改正する条例の専決処分報告第2 一般質問 (3人)--------------------------------------- 午前十時一分開議 ○議長(土森正典君) これより本日の会議を開きます。--------------------------------------- △諸般の報告 ○議長(土森正典君) 御報告いたします。 議員猪野茂行君から、所用のため本日の会議を欠席したい旨、届け出がありました。--------------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(土森正典君) これより日程に入ります。 日程第一、第一号から第二十三号まで、報第一号及び報第二号、以上二十五件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第二、一般質問をあわせて行います。 三十一番米田稔君。 (三十一番米田稔君登壇) ◆三十一番(米田稔君) おはようございます。私は、七月定例県議会に当たり、日本共産党を代表して、知事並びに各執行部に質問をいたします。 まず最初に、知事の政治姿勢についてお伺いをいたします。初めに、今回の参議院選挙の結果に関連して知事の見解を伺います。近年、投票率が低下し、選挙を通じて示された国民の意思で政治権力、政治のあり方を決定するという日本の民主政治の危機が指摘されてきました。 三年前の参院選では、政治不信から、過半数を大きく超える有権者が投票所に行かず、投票率は四四・五二%でありました。ところが、今回は政治を変えるために積極的に行動し、投票率は五八・八四%まで回復しました。この投票率の回復は、政治不信と無関心から、国民がもう一度選挙を通じて政治を変える政治システムに期待をかけて行動したことを意味すると思いますが、知事はこの主権者の政治参加の前進、投票率の上昇の政治的意義をどう認識されているのか。 また、選挙の結果によって政権交代が実現したことで、国民は改めて一票の重みを実感し、選挙を通じて政治は変えられるという確信を持ったと思うわけですが、知事はどう受けとめられているのか、お伺いします。 今回の選挙で県下を回って実感したことは、従来の保守、革新を問わず、今の政治では何をやっても将来展望が見えないという悲鳴であり、自民党政治の完全な行き詰まりでありました。朝日新聞の出口調査によっても、自民党支持層で、比例選挙で自民党に投票したのは六四%にとどまったとされているとおり、自民党支持者でも今の政治に否定的評価をしています。知事は、全国的な自民党惨敗の原因、民主、共産の躍進の原因について、それぞれどう判断しておられるか、お伺いします。 いわゆる無党派層と言われる人々は、従来の支持政党には失望してそこからは離れてはいるが、政治に対する無関心層ではない。今度の選挙でも、この無党派層と言われる人々の判断と行動が選挙結果を大きく左右したと考えますが、知事はこの無党派層の今後の政治的役割についてどう考えられるのか。 また、全国で初めて本格的な無党派プラス共産党の組み合わせで選挙戦に臨んだ高知選挙区のこの実践をどう評価されているのか、お伺いいたします。 今度の選挙結果によって橋本内閣は退陣したが、後継首班選びは自民党内の政権たらい回し状況を呈しており、比例代表選挙の結果を見ても、自民党の得票率は二五%、野党が七五%となっており、四分の一の支持率で政権を維持しようとするのは無理があります。たまたま二年前の衆院選で多数だったといっても、これだけ極端な自民党政権と民意の乖離が明らかになった以上、衆議院はいわば虚構の多数であり、選挙管理内閣で衆議院を解散し、総選挙の道を選択することが民主政治の常道であると思いますが、知事はどういう見解を持っておられるのか。以上、率直な認識、見解をお伺いいたします。 次に、五全総について知事に質問します。去る三月三十一日、第五次全国総合開発計画--五全総が閣議決定されました。その内容は、「二十一世紀の国土のグランドデザイン--地域の自立の促進と美しい国土の創造」というタイトルとは裏腹に、またまた従来型のゼネコン向けの大型開発が中心となっており、その事業費は明示できないほど巨大なものとなっています。 例えば、東京湾口道路など六つの巨大な橋をかける構想を初め、国民から見て緊急性、必要性を欠く巨大な浪費型公共事業を推進しようとするものです。このような巨大開発は、大蔵省主計官の村瀬吉彦氏が「ファイナンス」九七年四月号で、「公共投資の国民経済に占める比率がバランスを失する程高いことが、我が国の巨額の財政赤字の要因の一つであることは否定できない」と述べているとおり、今日の財政危機の大きな要因となっていると同時に、福祉や社会保障費を大きく圧迫していることは明らかであります。 知事は、このような旧態依然とした大型開発を中心とした五全総の内容をどう受けとめているのか。また、公共事業は地域密着型、生活関連型に移行することこそが地方分権の流れに沿い、浪費をなくし、中小企業への発注率を高め、地域住民の生活改善に直結するものであり、この方向こそ強く求められていると思いますが、御見解を伺います。 公共事業の拡大と財政再建を同時に進めようとすれば、どうしても国民向けの福祉を削らなければならなくなるというのが、今の構造的な問題点であります。また、公共投資よりも社会保障、福祉の方が、経済波及効果、雇用効果が高いことも指摘されております。したがって、社会保障関係の公共事業をふやすことが、社会保障、福祉の水準を引き上げ、地元経済を潤し、福祉分野での雇用を拡大することになり、今こそ重視すべきと思いますが、御見解を伺います。 今後、五全総を具体化する動きが進みますが、知事はどういう姿勢でそれに対応するお考えか、御所見を伺います。 次に、去る四月二十八日閣議決定された周辺事態法案について、知事の見解を伺います。周辺事態措置法案は、日本に対する何らの武力攻撃がなくても、アメリカが海外で軍事行動を起こし、これを周辺事態と判断すれば、日本が自動的にアメリカの軍事行動に参戦する仕組みをつくるものであり、言うならばアメリカ有事参戦法とでも呼ぶべきものであります。そして、その内容は、憲法の平和的・民主的諸原則と地方自治を根本から踏みにじるものであり、断じて容認できません。 第一は、国家主権と議会制民主主義にかかわる問題であります。法案では、周辺事態の認定に関する規定がありません。戦争か平和かという一国の命運にかかわる重大な問題でありながら、日本政府が決めるのは、周辺事態に対応するために必要な措置として実施される、アメリカの後方支援の規模や内容を盛り込む基本計画だけであります。アメリカが武力で紛争に介入し、これは周辺事態だとして日本に軍事協力を求めてきたときに、日本が主権国家としてその協力の是非を判断できる仕組みが法案には全くないのであります。 国家にとって、他国との交戦や講和の権限は、国家主権の中核をなすものであります。その国家主権すら放棄し、アメリカの言いなりに戦争への道を突き進む、しかもそれを政府の独断で行い、国会には閣議決定した基本計画の事後報告だけで済ませるのであります。国民主権のもとで、国権の最高機関である国会にも諮らず、国の平和と国民の安全にかかわる重大問題を決定することは、議会制民主主義を根底から掘り崩すものであります。 第二に、後方支援の名で戦争行為に踏み出すことは、明らかな憲法違反であります。周辺事態法案は、周辺事態の際に日本が行う対米軍事支援について、自衛隊による米軍への情報提供、機雷の掃海作戦、船舶に対する臨検、戦闘中の米軍に対する軍事物資、燃料等の補給、輸送、さらに米軍への民間空港、港湾の提供などを列挙しております。これらは、すべて国際法上明白な戦争行為であります。例えば、自衛隊の掃海艇が米軍と一体となって機雷除去に当たることは、内閣法制局でさえ「武力攻撃の一環として敷設されている機雷を除去する行為は、確かに外国に対する武力攻撃に当たる」と、昨年三月、参議院予算委員会で答弁しているのであります。 日本国憲法前文と第九条は、戦力の不保持を定め、武力による威嚇や武力行使を禁じ、紛争の平和的解決をうたっています。この法案が、戦争放棄を厳格に定めた憲法の平和原則を真っ向から踏みにじるものであることは明らかであります。 第三の問題として指摘し、知事の姿勢を明確にしていただきたい点は、この法案が自治体に対し戦争協力を義務づけていることであります。周辺事態法案は、対米支援に当たって、「関係行政機関の長は、地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる」と規定し、さらに「国以外の者に対し、必要な協力を依頼することができる」と、民間の動員まで規定しています。政府や防衛庁は、これらは義務規定であり、政府の要請に従わない場合は違法な状態になると、事実上強要する立場であります。これによって、空港、港湾と関連施設の使用や人員、物資、燃料などの国内の輸送、負傷兵の治療、警察による米軍の警備、水の補給や汚水処理などで、自治体や民間を対米軍事支援に強制動員しようとするものであります。 しかし、憲法は地方自治の本旨をうたい、九十四条で「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有する」と定めています。日本国憲法の地方自治の本旨を踏まえて制定された地方自治法は、地方自治体の基本任務として、「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること。」を上げています。日本国憲法のもとでの地方自治は、住民自治を基礎とし、団体自治の原則に基づいて自治体の基本任務を遂行することであります。 憲法と地方自治法の理念に照らせば、自治体は、住民の安全を阻害し妨害するものを排除し、否定する権利を当然のこととして持っているのであります。米軍支援のため、政府や関係機関の長が自治体の長や国民に協力を要請できる現行法は存在しません。今回の周辺事態法案でも、協力しないことへの罰則規定を盛り込めなかったことは、それが憲法と地方自治の基本原則に反するものであるからにほかなりません。要するに、自治体が政府の対米軍事、戦争協力政策に協力しなければならない法的義務はないし、根拠法もないのであります。 知事は、この周辺事態法についてどのような見解を持っておられるのか。憲法と地方自治へのこれほどひどいじゅうりんに対し、県民の平和と安全を守るべき知事として、県が明確に管理権限を持つ港湾や病院の使用など、断固として拒否すべきと思うが、御所見を伺います。 次に、補正予算について知事に伺います。今議会に提案された補正予算は、投資的経費の補助事業費二百三十九億円余を含む総額二百九十一億円で、景気対策として実施した補正予算では、過去四番目の大規模なものとなっています。長期不況のもと、経営困難に陥っている中小企業に無担保・無保証で貸し出しを行う経済対策小口資金融資制度は、県民から大変歓迎され、その増額補正は大いに評価すべきものであります。しかし、この補正予算の結果、県債依存度は一二%から一気に一二・九%へとはね上がる事態となりました。 我が党は、今日の財政危機を生み出した最大の責任は、ゼネコン型公共事業を肥大化させ、それを地方に押しつけてきた国の財政運営にあり、県財政の危機は、これら国の方針を受け、景気対策の名による公共事業の推進や、優良と呼ばれる起債活用の県単独事業などを無批判に進めてきた結果つくり出されてきていると指摘してきました。 公共事業の導入は、県の財政負担とのかかわりで慎重でなければなりません。今回、補正予算を組むに当たり、国庫補助事業の受け入れについて、国からの要請がありながら県が受け入れなかった事業があったとのことですが、どういう事業をどういう判断で受け入れなかったのか、具体的にお答えいただきたいと思います。 今回の補正予算は、深刻な不況の打開、景気対策として必要だとの提案理由が述べられていますが、本当に景気対策につながるのかは疑問が残るところであります。今回の補正予算を内容的に見ると、二百九十一億円の予算のうち、道路や河川など一般公共事業費は二百二十二億六千九十六万円と大半を占めています。その一方で、一般会計の繰越事業費は、本年度当初予算総額の一〇・三%に相当する六百二十七億円にも上っています。その上に、今回の補正を上乗せしても、新たに繰越事業をふやすことになり、実際工事にかかることができるのは来年度になるのではないかと思われます。これらの事業は年度内に事業着手でき、景気対策となり得ると考えておられるのか、御所見を伺います。 今回の補正を組んだことで、二〇〇〇年に県債依存度を一〇%以下に引き下げるとの県財政構造改革の目標達成は、極めて厳しい状況になりました。しかし、先日の知事答弁では、その目標を堅持するとのことでした。そうであれば、当然来年度以降県債依存度を引き下げるためには、本年度当初予算以上に事業費を縮減しなければならず、県民の暮らしや福祉、教育に関連した事業へのしわ寄せが危惧されています。そういうことがあってはならないと思いますが、来年度以降の予算編成の方向性について、知事に御所見をお伺いします。 次に、農業問題、まず県農業基本計画について伺います。国が平成四年に、平成十二年を目標とした新しい食料・農業・農村政策の方向を取りまとめたのを受け、県は平成六年度から平成十二年度を見通した高知県農業基本計画を策定し、施策を進めてきました。計画策定から五年目を迎えた現在、主な施策について進捗率はどのようになっているのか。また、最終年度である平成十二年の目標を達成できる自信がおありなのか、今後はどうするおつもりか、農林水産部長にお伺いします。 次に、新農業基本法について知事に質問いたします。日本農業を壊滅的状況に追い込んだ元凶で、破綻した現在の農業基本法の改定作業が大詰めを迎えています。食料・農業・農村基本問題調査会は中間答申をまとめることができず、両論併記で中間取りまとめを出しました。その後、調査会が再開され、最終答申を目指して大詰めの論議が始まり、その答申を受けて政府は法案を次期国会に提案すると言われています。 二十一世紀を展望したとき、農業・農村の存立基盤そのものが危機的状況に直面していることや、中間取りまとめ結果発表に対して危機感を抱いた全国のJAグループは、食料・農業・農村地域に関する新たな基本法の制定に関する請願を、自民党議員五十七名が紹介議員となり、一千六十万の署名とともに衆議院に提出したのであります。日本農業新聞は、最後まで採択を主張したのは共産党の藤田スミ議員のみで、結果は実質的に不採択である審議未了にしたことを報道し、「なぜ一千万人の声が国会に届かないのか」と、農家、JAの怒りの特集記事を載せているのであります。 県内九市の農業委員会で組織されている協議会でも、国内農業の位置づけ、食糧自給率の取り扱い、株式会社の農地取得問題、中山間地域における直接所得補償問題導入の四項目の要望書を総理大臣と農林水産大臣に提出し、また食料・農業・農村基本問題調査会長にも意見書を提出。須崎市議会等も同様の趣旨の意見書を六月定例市議会で可決しているのであります。 調査会の両論併記での対立点は、大きく分けて三点に集約できると思います。一つは、国民の食糧の自給あるいは農業の自立をいかに原則とするかであります。つまり、国内の生産を強化して、日本国民の食糧は日本の国土から供給するという原則を基本にして、不足分を輸入することにするのか、財界の言うように輸入を前提にするのか、それを受けて食糧自給率の目標を新しい法律に書くか書かないかであります。 二つ目は、農地の取得を株式会社に認めるかどうか。いわゆる農地の保全、経営、管理の主体をどこに置くかという問題で、耕作者主義を堅持して、耕作者が不明な株式会社には農地の取得を認めないという現行農地制度を守り抜くのか、それとも崩すのかということであり、それはこれからの地域農業の担い手をどう想定するかという問題でもあります。三つ目は、中山間地域農業所得補償政策を導入するかどうかという問題です。 農業問題は、単に農業・農村の問題にとどまらず、日本民族の生存条件にかかわる問題であり、食糧自給率の明記、家族経営こそ日本の農業の基本であり、株式会社の農地取得は農業と農村の荒廃につながることは明らかであります。さらに、中山間などの条件不利地域への直接所得補償の導入を明記した新農業基本法にすべきと思うのであります。これらの問題についての知事の見解をお伺いいたします。また、調査会と政府に対し、このことを強く要請すべきと思いますが、知事にあわせてお伺いをいたします。 次に、農林産物の輸入規制について質問します。参議院選挙で県下の農村地域を回って、改めてWTO体制と新食糧法による新たな米政策による大幅減反と米価の暴落、規制緩和、自由化・国際化の名のもとに大幅に拡大された輸入農産物による価格の暴落で、県下の農林業が存亡の危機を迎えていることを痛感いたしました。米を輸入しながら減反をしなけばならない無策に対する怒り、米価の暴落と減反拡大は、稲作を放棄せざるを得ない農家を生み出し、兼業農家までが米づくりをやめ、耕作放棄地が増大しています。 昭和四十六年に生産農家二千五百六十八戸、栽培面積七百七十五ヘクタール、生産額二十二億円であったイグサ生産は、平成八年には九十八戸、栽培面積九十ヘクタール、生産額約四億円に激減、宿毛市のイグサ農家は昨年の在庫を抱え、現状では収穫すれば赤字が増大するため、刈り取り寸前のイグサを焼き払っていたのであります。現状の価格が続けば、高知県からイグサ農家がなくなることは必至であります。 昨年のショウガの輸入量は、生ショウガで三万三千トン、加工品も合わせると約十万トンにもなる莫大な量であり、生産者価格は暴落し、本県の生産量も昭和五十九年の三万四千七百トンから平成九年は一万六千トンへと激減し、現状の価格が続けば、本県ショウガ生産の灯が消えるであろうと心配されています。野菜の輸入量も、生鮮野菜で平成五年に四十一万トンであったものが、九年には六十万トン、冷凍野菜で四十五万トンから六十五万トンへと急増しています。また、木材の無制限な輸入増大による価格の暴落により、本県林業もさらに深刻な事態が進んでいます。 農林業を深刻な事態に追い込んだ最大の要因は、農林産物の総自由化による野放しの輸入により、生産者価格が暴落したことであることは明らかであります。地方自治体と農林業従事者の努力には限界があり、国際競争力に打ち勝つ農業、低コスト生産、農業の規模拡大等の施策を進めても到底太刀打ちできないことは、これまでの施策の結果が証明しているとおりであります。その結論として、「急増している農林産物の輸入を規制しない限り、我々の生き残る道はない」と、すべての生産者が怒りを込めて訴えているのであります。 この現実を知事はどう認識されているのか。また、これらの願いの実現のため、国を初めとする関係機関に強く要請すべきと思うが、知事の見解をお聞きいたします。 次に、教育問題について教育長に質問いたします。まず、教育費の父母負担の軽減についてお伺いいたします。文部省が平成八年度に実施した子供の学習費調査によれば、学習費総額は小学校で年間三十万七千円、月二万五千円、中学校公立で四十三万二千円で月三万六千円、高校公立では五十二万円で月四万三千円にも上っています。この中には、塾や習い事、家庭学習のための参考書の購入なども含まれていますが、総額のうちの学校教育費--学校教育のために各家庭が支出した経費は、小学校は学習費総額の一九・三%、五万九千円で月約五千円、中学校は三一・四%、十三万五千円で月一万一千円、高校も六三・九%、三十三万二千円で月約二万七千円もの負担になっているというのが実態であります。 ある高知市内の中学校の補助教材、材料などに必要な代金を集金する保護者向けのお知らせを拝見いたしました。「何かと出費のかさむ時期ではありますが」と断りも入れ、丁寧に内容が説明されています。結果テスト百八十円、数学ワーク百九十円、新しい世界地理、新しい日本地理一千円等々びっしり書き込まれ、各学年ごと一万数千円の集金額となっています。 これらは学校教育費の一部ですが、明らかに授業、学校教育に不可欠なものばかりです。しかも、さきの文部省調査でも、学習費総額に占めるこの学校教育費の割合が増加していると指摘しています。増大する教育費の父母負担は、家計に大きな負担を押しつけていますが、さらに今日の企業倒産やリストラなど深刻な不況のもとで、学校教材費や給食代が払えず滞納したり、授業料が払えず高校を退学せざるを得ないなど、全国的にも子供たちに深刻な影響を広げています。 教育長は、小中学校での教育費の父母負担の実態をどう認識されているのか。また、義務教育は無償という憲法二十六条の立場に立って、県の教育長としてどう対応されるのか、お伺いいたします。 また、高校においても授業料を初め教育費が家計に重い負担を押しつけていることには変わりありません。特に高校授業料は、相次ぐ値上げとともに深刻な不況と生活悪化の中で、父母に大変な負担を強いるものになっています。父母の負担を軽減し、就学の機会を保障するためにも、県立高校授業料免除制度を実効あるものに改善すべきだと思います。ここ数年間の申請と免除の状況についてお伺いするとともに、学業成績という条件を除き経済的理由のみにするなど改善・充実し、父母が十分活用できるものにすることを求めるものですが、御見解を伺います。 次に、父母負担にもかかわるわけですが、大体の高校においてPTA会費以外にもさまざまな名目で父母からお金を集めています。例えば、部活動推進という目的で年四千八百円、施設整備の充実で三千円、教育の振興ということで二千八百八十円など、またある学校では、教育振興費二千九百円、図書費二百四十円、部活生徒遠征費四千八百円、高校充実費三千円などとなっています。 しかし、PTAの自主性と合意に基づくものとはいえ、本来教育行政が責任を持って対応、負担すべきもので、父母とPTAに負担、肩がわりさせるべきでないものが多々あると思うわけであります。例えば、卒業式、体育祭など学校行事への補助、施設設備、教科教材、学校運営費の補助などさまざまな名目で行われており、防球ネットや朝礼台の購入、進路事務補助員の賃金や実習助手の人件費までPTA、父母が負担している例もあります。 そこでお伺いいたしますが、こうした実態について調査されたことがあるのか、どう認識されているのか、お聞きいたします。そして、教育行政の重要な役割である教育環境、教育条件の整備を進めるとともに父母の負担を軽減するという点でも、学校で自由に使用できる運営予算の確保を初め、全国水準から見て下位となっている構成比一六・八%の教育予算の増額を図るべきだと思いますが、御所見と決意をお伺いします。 次に、教育予算に関連して、学校の大規模改修についてですが、ことし五月、ある高校で教室の天井が一部落下し、県教委が応急対策をしています。たまたま夜の出来事であり、惨事に至らず不幸中の幸いであったわけですが、学校現場の方からは昨年九月、校舎にひび割れ--クラックが入り、雨漏りがあるなど、「早急な抜本対策を」と要望されていたものです。対策が後手に回ったわけで、県教委の責任が厳しく問われかねない事態でもあったと思います。緊急に専門家による調査を行い、抜本的な対策を急ぐよう求めるものですが、御所見を伺います。 また、こうしたことを繰り返さないためにも、危険校舎の実態や大規模改修の現状、今後の計画についてお伺いいたします。 さて、昨年の神戸市での小学生殺傷事件、ことし一月、栃木県での中学生による教師刺殺事件など、痛ましい事件が相次いでいます。神戸の事件では、「犯行をした中学生の気持ちがわかる」とアンケートに回答した子供たちがいたこともショックを与えています。中学・高校生の校内暴力は九六年度一万件を超え、登校拒否・不登校の児童生徒数は全国で九万四千二百四十五人と過去最高で、いじめは減少したとはいえ五万一千件、自殺した小・中・高校生は百四十三人にも上るなど悲しい状況が生まれています。そして「キレる」、「ムカつく」現象がクローズアップされ、学級崩壊や新たな「荒れ」など深刻な事態が広がっています。 今日の子供と教育をめぐる危機を打開するために、我が党は、子供の成長と発達を中心に据えた学校教育の抜本的改革、社会全体にモラルを確立する、テレビや雑誌などでの暴力・退廃を野放しにしないという三つの内容で、政治が本気になって取り組むとともに、国民的な討論と運動を呼びかけています。 また、時を同じくして、国連子どもの権利委員会も、子どもの権利条約の第一回日本政府報告書の審査が九時間に及んで行われ、この六月初め、日本政府へ異例とも言える厳しい二十二項目の勧告を寄せています。日本政府は子供を権利主体として認めていないのではないか、子供の参加を政策決定の指導原理とすること、日本の子供たちが極度に競争的な教育制度によるストレスのため、発達上の障害にさらされ、余暇が欠如していること、さらに登校拒否の事例がかなりの数に上ることを懸念し、適切な措置をとるよう勧告。そのほかいじめ、体罰、メディア等の問題も懸念、勧告をしています。 県教委は、子どもの権利条約を冊子にし配布するなど努力されていますが、今回の国連の勧告についての感想と所見についてお伺いいたします。 次に、補正予算で提案されている心の教室相談員についてお伺いいたします。九九年三月末までという期間でありますが、わずか半年間で登校拒否の子供、親を初め、生徒のさまざまな悩みにこたえることができるのか。少なくとも数年間の制度にすべきではないか、そうしなければ人材の確保も難しいと思いますが、御所見をお伺いします。 勤務条件は、週三回、半日程度ということですが、生徒たちの思いにこたえることができるのか、いつでもという体制が必要ではないかとも思いますが、お聞きいたします。 この事業は、九五年から始まったスクールカウンセラーの補完的な意味もあるかと思いますが、スクールカウンセラーの制度の拡充のために、臨床心理士の養成やこれに準ずる人材の確保など、国に働きかけるべきではないでしょうか、御見解を伺います。 次に、高校入学制度について質問をいたします。先ほど紹介したように、今子供たちは、過度な詰め込み教育や受験競争のもとでストレスにあえいでいます。その重要な一つに、高校入学制度があることは言うまでもありません。多様化、個性重視と進学拠点校づくりによって学校の数だけ格差が生まれ、生徒自身の希望ではなく、偏差値によって受験校を振り分けられており、子供たちに小学校段階からの過度な受験競争を余儀なくさせています。 特に中学校段階で、「将来の目的、目標は」と駆り立てられながら、将来の方向性を見出せない多くの生徒たちは、偏差値の輪切りによって自動的に進学先が決まってしまう。そして、何とも言えないいら立ち、ストレスの中で、「キレる」、「ムカつく」という現象をつくり出しているのではないでしょうか。その背景に、県内一円から出願できる学校数が二十四校あり、また高知市内の生徒が出願できる普通科の高校は十九校もあるなど、学区があってなきに等しい事実上の大学区制状態にあることは明らかだと思います。 そして今、高知市内の子供たちは、市外の公立高校への進学を、九六年六百九十二人、九七年六百四十人、九八年七百十人と、進学生徒数の四人に一人が余儀なくされています。遠距離通学と多額の交通費など、生徒、保護者にとっても大変なストレスであり負担であります。 また、高知市の全日制を受験し、不合格となった生徒数は三百四名に及んでいます。十五の春は泣かせないという思いは共通だと思いますが、こうした実態をどう受けとめているのか。また、例えば高知学区を二分し、全体で五学区にするなど学区を縮小すべきだと思いますが、御見解を伺います。 次に、いわゆる定員内不合格についてですが、現状についてお聞きするとともに、まず進路希望を尊重し、進学を保障すべきではないかと思いますが、御所見を伺います。現に定員内不合格を出していない県も幾つかあります。もちろん、教育困難校への増員など条件整備を進めることもあわせて実施しなければなりません。 前文部省職業教育課長で、ある県の教育長をされている方は、日本教育新聞社主催の講演で「中学三年生一学期の進路希望を調査したら、九九・三%が高校への進学を希望。そこで、就学計画は九九・三%で立てました。それが教育行政というものです。そして、この春全員が進学を果たしました。もし一〇〇%の希望があったら、もちろん一〇〇%の就学計画を立てます。それが教育行政というものです」と、明快に語っています。意義深い学ぶべき教育行政ではないでしょうか。 あわせて、来年度入試選抜についてですが、卒業見込み者数と定員設定などについての基本的な考え方をお聞かせください。 次に、大規模校解消問題についてです。義務教育も同様だと思いますが、学校としての営みが成り立つ基礎として、生徒同士、生徒と先生のお互いの名前と顔が一致でき、人間的交流と切磋琢磨できる条件が必要ではないでしょうか。大規模校においては、生徒はもちろん、教職員にとっても大変な困難を強いられていると思いますが、大規模校解消に向けて具体的な検討を始めるべきと思います。大規模校の学級数、また生徒数の減とあわせて、高知市、南国市に各一校新設校をつくることなどについて検討すべきと思いますが、御所見を伺います。 また、この大規模校解消や学区制改善も含め、高校入学制度を中心として、これまでの土佐の教育改革を考える会の実績を生かして、高校問題検討委員会を再編して再開するなど、広く意見を聞き、知恵を結集する場を持つべきだと思いますが、御所見を伺います。 次に、福祉行政について健康福祉部長に質問します。今回、母子家庭への児童扶養手当の所得制限が大幅に強化され、受給見込み六十七万六千世帯のうち七万四千世帯が切り捨てられようとしています。母子家庭の平均年収はわずか二百十五万円で、一般家庭の年収と比較すると三三%にすぎず、余りにも生活実態を無視した削減と言わざるを得ません。今回の改悪により、受給者の所得制限限度額は、扶養人数一人の場合で、受給者本人の所得が現行で二百七十二万二千円が百九十二万円に引き下げとなります。高知市では、一部支給の受給者約七百人のうち三六・九%、約二百六十人が全額停止になると推測されているようですが、全県ではどのくらいの数になるのか、お聞きします。 これまで児童扶養手当の果たしてきた母子家庭支援への役割を考えると、今回の改悪は見過ごすわけにはいきません。国に対し、より充実した制度となるよう働きかけるとともに、当面県として独自の救済措置をとる考えはないのか、見解をお伺いいたします。 あわせて、母子家庭医療について伺います。現在の県の母子家庭医療費助成事業補助金交付要綱では、対象者が著しく限定されています。前年の所得に対してほんのわずかでも所得税がかかっていると補助の対象とはならず、母子家庭の方々から不満の声が上がっています。 そこでお伺いしますが、現在児童扶養手当の受給世帯数と、そのうちに占める母子家庭医療費を受けられない世帯数についてお示しいただきたい。せめて児童扶養手当が支給されている基準に改めるべきではないかと思いますが、御所見を伺います。 あわせて、母子家庭医療費支給の手続についてお伺いします。現在、自己負担分を全額一たん窓口で支払い、毎月役所へ行ってその分を請求しなければなりません。何かと御苦労と困難の多い母子家庭に、さらなる負担となっています。他の福祉医療などのように、病院窓口での本人の受給者証提示で医療費助成ができないか、改善を求めるものですが、御見解を伺います。 以上で、第一問を終わります。 (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 米田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、今回の参議院議員選挙の結果についての一連の御質問に、まとめてお答えをいたします。今回の参議院議員選挙は、我が国の経済が長期に低迷をいたします中で、景気対策が大きな争点の一つになりました。その結果、国の景気対策への国民の不安や不信が、政権党であります自由民主党の議席の大幅な減少につながりましたし、こうした批判票の受け皿としまして、共産、民主両党のほか、無所属の方々の議席がふえましたことが、一つの特徴ではなかったかと思います。また、戦後最悪とも言われます現在の経済情勢の中で、政権党に強い逆風が吹きましたことは、ある意味で当然の結果だったとも言えると思います。 一方、前回の参議院議員選挙と比べまして、全国で投票率が一四ポイント余りも上昇しましたことは、有権者の政治離れや政治への無関心が指摘をされております中で、注目すべきことではなかったかと思います。もちろん、今回の選挙だけで投票率の低下の傾向に歯どめがかかったとは即断をできませんけれども、これまでさまざまな理由で棄権することが多かったと言われる、いわゆる無党派層の方々を含めまして、有権者の皆さんは今回の選挙で自分の一票の重さ、投票することの大切さを改めて感じられたことと思います。 今後とも、政治が国民にとってわかりやすく、また身近に感じられるようにするための各政党の御努力と、有権者の自覚とが相まちまして、無党派層の方々を含めました政治参加が着実に進みますように願っております。 また、先ほども申し上げましたように、今回の選挙結果は、今の政治に対します国民の大きな不信感のあらわれと受けとめられますが、その背景には、戦後我が国が築き上げてきました政治や行政のシステムなどが、現状の大きな変化に十分に適合できなくなっているという現実があると思います。こうした意味で、私は、これからは各政党がお互いを批判し合うだけではなく、政策的な代案を示して議論をされた上で、決定したことは協力してそれを確実に実行していくといった新しい政治の仕組みが必要ではないかと思います。 また、新しい政権並びに各政党には、今回の選挙で国民が一票に託した思いをいま一度真摯に受けとめて、国民の政治に対する不信感を払拭されますとともに、確かに政治が変わったと実感できるようなシステムの実現に向けて努力を続けていただきたいと願っております。 また、衆議院の解散と総選挙を行うべきかどうかは、当然のことながら国民世論の動向が大きな要素になるのではないかと思います。あわせて、高知選挙区の選挙につきましてもお尋ねがございましたが、私がどうこう申し上げるべき立場にはないと思います。 続いて、五全総の内容をどのように評価をしているのかとのお尋ねがございました。御指摘のありましたいわゆる六大プロジェクトにつきましては、米田議員からお話のありましたようにさまざまな御意見があることを承知しております。しかし、今回の全総では、こうした大規模プロジェクトとは別に、地域の選択と責任のもとでのさまざまな主体の参加と、地域間の連携によります地域づくりが提唱をされております。 また、私自身も地方の代表としまして、さまざまな機会を通じて意見を述べてまいりましたように、基幹的なインフラなど地域間の競争の前提となります共通のスタートラインの整備や、中山間地域の多自然居住地域としての位置づけもなされております。こうしたことは、これまでの全総にはない新たな視点でございますので、私といたしましてはこれらの新しい視点に注目をし、また期待もしていきたいと思います。 次に、五全総と絡めまして、今後の公共事業のあり方についてお尋ねがございました。公共事業を地域の住民の生活の改善につながるものにしていくべきだとの御意見は当然のことだと思いますし、新しい全総でも、先ほど触れましたような、地域の選択と責任によります取り組みが可能になりますよう、地方分権の推進や補助金などの整理と合理化のほか、必要な地方一般財源の確保、さらには地域の個別の条件や創意工夫が反映できますように施設の構造基準を弾力化することなどが示されております。 また、今回の全総では、「地域の自立を促す国土基盤を一定の条件の中で整備するなど、機会の均等化を図る必要がある」と明記されておりますので、本県といたしましても、今後の地方分権の時代における地域間の競争に対応してまいりますために、高速道路や空港といった事業に対しましてもより効果的な対応を図ってまいりたいと思います。 あわせて、社会保障関係の公共事業を重視すべきではないかとのお尋ねがございました。これからの高齢社会におきましては、介護や福祉に係る行政ニーズやそれらに携わる就業者の増加が予想されますなど、社会保障に関係する事業の充実がますます重要になってまいります。ことしの三月議会でも、牧議員の御質問にお答えをいたしましたように、社会保障の持つ経済への波及効果や雇用への効果にこれまで以上に着目をして、評価をしていかなければならないと考えております。 また、道路整備など通常の公共事業を行います際にも、高齢者が安心して暮らせるような地域づくりに配慮をしますなど、福祉サービスの向上につながるような事業を実施してまいりたいと考えております。 次に、新しい全総が今後具体化をしていくのに際して、どのように対処をしていくのかとのお尋ねがございました。全総の推進方策につきましては、現在国で、多自然居住地域の創造や地域連携軸の展開など四つの戦略を進めますための指針が検討されております。また、これと並びまして、ブロック別の地方開発促進計画の策定も進められております。 私といたしましては、これまで要望してまいりましたとおり、地方分権の前提となります共通のスタートラインに立つのに必要な基盤整備の推進や中山間地域の振興などの実現に向けまして、本県が独自に取り組んでおります市町村活性化総合補助金の事例なども示しながら、本県の考え方が十分反映されたものになりますよう求めてまいります。 続いて、周辺事態安全確保法案に対しまして、どのような見解を持つのか、また、県が管理権限を持ちます港や病院の使用などは拒否すべきではないかとのお尋ねがございました。いわゆる周辺事態安全確保法案は、昨年九月に策定をされました新たな日米防衛協力のための指針を具体化しますための関連法案の一つでございますが、この法令に基づきますすべての行為は、日本国憲法の制約の範囲内で、しかも専守防衛や非核三原則など、我が国の基本的な方針に従って行われるものでございます。また、米国に対してどのような協力を行うかも、我が国が主体的に判断を行うことになっております。 一方、御指摘にありましたように、この法案によれば、地方公共団体に対して港湾や空港などを使用するための協力要請が行われることが想定をされますので、状況によりましては住民の生活や経済活動に影響が及ぶことも懸念をされます。このため、こうした施設の使用に関しましては、全国知事会などを通じまして、法案の具体的な解釈や協力の具体的な内容などを明確に示すよう国に求めてまいりますし、あわせて今後地方公共団体に対しまして、十分な情報の提供がなされますことを望んでおります。 次に、補正予算に係る国庫補助事業の受け入れについてお尋ねがございました。今回の経済対策に伴います社会資本の整備は、厳しい財政状況のもとで貴重な財源を投じて追加を行うものでございますので、地域の実情に即しましたより効果的な投資を行うことが重要だと考えまして、事業の内容をこれまで以上に厳選いたしました。これまでにも繰り返し申し上げてまいりましたが、具体的には、国体関連の施設整備や高知駅周辺の整備など今後数年間で集中的に取り組む必要があるものや、情報化や福祉など二十一世紀に向けまして整備が急がれるもの、また工事が完了することによりまして効果が早くあらわれるもの、さらには緊急的に防災対策を実施しなければならないものなどを優先いたしました。 御質問の内容は、国庫補助事業に関しまして、どんな事業をどういう判断で受け入れなかったのかというものでございましたが、今申し上げました基準に該当しないもの、例えば単なる前倒しにすぎない事業などは予算への計上を見送っております。 次に、今回の補正予算に係る事業は年度内に着手できるのか、つまり景気対策になり得るのかとの御質問がございました。今回提案しております補正予算に計上いたしました公共事業は、年度内に発注が見込めます工事をまず選びました上で、その中で先ほど申し上げました基準に沿いまして、特に事業効果が高いものを選択しております。 あわせまして、先日川添議員の御質問に対しまして土木部長からお答えをいたしましたように、契約の際の前払いの比率を高めました上、その限度額を撤廃するといった前払い制度の改善をこの九月から実施をいたしますので、これまで以上により有効な景気対策になるものと考えております。 次に、来年度以降の予算編成の方向性についてお尋ねがございました。来年度以降の予算編成は、極めて厳しい財政状況のもとで行わざるを得ないことは御指摘のとおりでございます。このため、今後はそれぞれの年度ごとに国の予算編成の動向や県の財政状況を踏まえました上で、本県の社会経済の状況を十分に見きわめながら予算編成に取り組んでまいります。 一方、お話にございました福祉や教育、環境といった分野は、二十一世紀に向けまして県政を進めてまいります上で重要な課題でございますので、これらの施策を円滑に進めますためにも、公共事業の見直しや行政改革に徹底して取り組む必要があると考えております。 続いて、新しい農業基本法に対する考え方についてお尋ねがございました。新しい農業基本法に対する私の考え方は、ことしの三月議会でもお答えをいたしましたが、産業政策と地域政策の二つの視点からの施策が基本的な方向として盛り込まれる必要があると考えております。 まず、産業政策といたしましては、市場原理を生かしまして、農業に意欲を持ったやる気のある担い手を育成することによりまして、産業として成り立つ足腰の強い農業が展開されますような施策が必要だと思います。一方、地域政策といたしましては、本県の中山間地域など生産性の向上といった点で大きな制約を抱える地域では、農業や農村の果たしております公益的な役割を評価しまして、その役割を維持し向上させるための、いわゆる日本型のデカップリングを導入すべき時期に来ていると思います。 また、我が国の食糧自給率の問題に関しましては、消費者の思いもかかわる問題でございますので、広く国民的な議論を通じて合意を得ることが必要だと思いますが、将来地球規模での人口増大などから逼迫することが予想されております世界の食糧事情を考えますと、国内での農業生産力を高めていくことが必要だと思います。このためには、現実問題として農業者が減少をしております中で、若いやる気を持った方が農業に参入しやすくなるように、また耕作放棄地などが農地として有効に活用できますように、新しい経営感覚や資本の導入など新たな制度の創設を考えていくことも選択肢の一つではないかと思います。 こうしたことが、基本法の施策に反映されることによりまして、平たん地から中山間地域までの、地域の実情に応じた農業振興が図られると思いますし、またこのことが国内の食糧自給率の向上や食糧の安定供給にもつながっていくと考えております。こうした観点から、これまでも国に対して要望を行ってまいりましたが、新しい農業基本法が、分権の時代にふさわしく、地域の実情に沿った施策の展開が可能になるような、地域農業の基本法となることを期待しております。 続いて、農林産物の輸入の規制についてお尋ねがございました。これまでもこの点に関しては何度かお答えをしておりますが、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意やWTOの発足など、自由貿易体制のもとでの国際的な協調という流れの中で、我が国が国際社会の一員として自由貿易体制の恩恵を受けているという現状を考えますと、農林業の分野だけを切り離してWTOの協定以前の状況に戻すということは、現実問題としては困難だと思います。 こうした状況に対しまして、生産者の方々が将来への不安を感じておられますことは十分に理解ができますし、こうした思いを受けてできるだけの国内対策を考えていかなければなりませんが、一方で、国際化への対応は、我が国の農林業が乗り越えなければならない大きな課題の一つだと考えております。そのためには、流通体制の整備を初め、生産性の向上や新しい技術の開発、さらには品質の向上によります優位性の確保や安全志向などの消費者のニーズに対応した需要の拡大など、輸入品に対抗できますような総合的な産地の強化対策に取り組むことが大切だと考えております。 私からは、以上でございます。 (農林水産部長安部望君登壇) ◎農林水産部長(安部望君) 県農業基本計画についてのお尋ねにお答えを申し上げます。 この基本計画は、産業として成り立つ競争力を備えた農業の確立や中山間地域等での農業・農村の活性化などを目指しまして、平成七年三月に策定したものでございます。計画にあります主な施策の進捗状況といたしましては、まず「人づくり」では、担い手の確保・育成のための施策を進めておりますが、その中でも新規就農者数は比較的順調に増加しておりまして、平成六年から平成九年までの四年間に六百五十三人が就農しております。 次に、「基盤づくり」では、その主なものといたしまして、生産性の向上に直結しております圃場整備につきましては、平成十二年の目標整備率五〇%に対しまして、平成九年度末の整備率は四三・五%で、進捗率といたしましては八六・九%となっています。また、「モノづくり」の面では、県単独のレンタルハウス事業や国庫補助事業によりまして、平成六年度から平成九年度までに約七十八ヘクタールのハウス施設の整備が進みまして、野菜を中心とする園芸農業の拡大に貢献しております。 一方、「中山間の地域づくり」では、先ほど申し上げましたレンタルハウス事業や基盤整備事業を進めておりますが、中でも小規模な基盤整備、いわゆるせまち直しでは、平成六年度から九年度までの間に約六十五ヘクタールの整備が進んでいます。 計画の最終年度でございます平成十二年度の見通しにつきましては、経済状況の変化などによりまして、中には計画に示された見通しに達しないものも予想されますが、県といたしましては、先ほど申し上げました主な施策に加えまして、担い手となる農業者の育成や生産性向上のための基盤整備などの施策をさらに進めまして、計画の目指しています園芸農業を中心とした農業の振興に向けて積極的に取り組んでまいります。 なお、現在進められております農業基本法の見直しや、今後予定されておりますWTOの再交渉など、計画の策定時とは情勢も変化しておりますので、それらの情勢の変化や本県の実態も十分踏まえまして、今後適切に対応してまいりたいと考えております。 以上でございます。 (教育長吉良正人君登壇) ◎教育長(吉良正人君) 教育行政についての一連の御質問にお答えをいたします。 まず、教育費の父母負担の軽減に関しまして、小中学校の父母負担についてのお尋ねでございます。お話にございました子供の学習費に関する調査は、教育費に関する国の施策を立案するために、二年に一回実施をされております。この学習費は、一つは修学旅行や遠足、学用品などの学校教育費、二つ目には学校給食費、三つ目には学習塾、けいこごとなどの校外活動費に分けられております。平成八年度の調査結果によりますと、学習費総額の六割ないし七割近くが校外活動費で占められております。 義務教育における学校教育費は、一切無償とはされておりませんが、保護者負担はできるだけ軽減を図らなければならないと考えております。そのために、教科書の無償制度の継続や教材費の財源措置、経済的理由によって就学困難と認められる児童の保護者に対する就学援助費の増額などは、あらゆる機会を通じて国に要望をしております。 次に、高等学校の授業料の免除についてのお尋ねでございます。県立学校の授業料を半額または全額免除している生徒数は、ここ数年全生徒数の三%ないし四%で推移をいたしております。平成八年度は申請者八百十六名に対しまして六百九十九名、九年度は八百七十一名に対しまして七百五十名、本年度は八百八十六名に対しまして七百四十四名を免除しております。このうち免除されていない生徒は、主に所得制限によるものでございます。審査に当たりましては、学業成績につきましても一定考慮することとはしておりますが、所得状況や家族の構成、さらには家計に占める就学費など、経済的事情を重視して弾力的な取り扱いをしております。 次に、高校のPTA会費や本県の教育予算に関するお尋ねにお答えをいたします。県立学校のPTAの運営につきましては、それぞれ自主的・主体的に行われております。これまで保護者の御理解のもとに、部活動の経費など一部につきまして御協力をいただいているものもあることは承知をいたしております。学校活動によりましては、一定PTAの自主的な御協力もあると思いますが、公費で負担すべき基本的な学校運営費につきましては、学校を指導するとともに、その予算の確保に努めております。今後、学校とのヒアリングなどを通じまして、その実態を十分把握してまいります。 教育予算の問題につきましては、基盤整備のおくれております本県の現状から投資的経費が増加をしておりまして、県予算の全体に占める教育費の比率は低くなっておりますが、教育費予算額は年々増加をしております。また、本県の生徒一人当たりの教育費について見てみましても、全国的に上位に位置しておりまして、必ずしも低いとは思っておりません。 次に、危険校舎の実態や大規模改修の現状、今後の計画などについてのお尋ねでございます。御質問にございました教室の天井のプラスターボード二枚--約〇・三六平米でございますが、これが落下した件につきましては、学校からの連絡により直ちに専門家が現地調査を行い、修繕を終えました。通常、学校の建物の管理につきましては、毎年建築の専門家とともに学校訪問を行い点検の上、危険箇所などにつきましては対策を講じております。県立学校施設の改修につきましては、生徒の安全確保の面から、まず老朽化した建物で危険が予測されるものにつきましては、専門家による耐力度調査を実施しまして、その判断を得まして改築することといたしております。現在、小津高校の全面改築、また伊野商業高等学校、西高等学校の体育館の改築を行っているところでございます。 次に、国連の子どもの権利委員会からの日本政府への勧告についての感想についてのお尋ねでございます。今回の勧告の内容は、我が国の取り組みについて一定の評価がされている一方で、教育制度が高度に競争的になっていること、また体罰及びいじめを根絶するためのプログラムの開発、さらに人権教育を学校の教育課程に体系的に導入するための適切な措置をとることなどが指摘をされております。このことは、今後の我が国の教育のあり方について重要な視点が示されていると認識をいたしております。 次に、心の教室相談員につきましての御質問に一括してお答えをさせていただきます。子供たちが気軽に悩みや心配事を相談できるこの制度は、一定期間継続することが大切でございます。文部省から、来年度もこの心の教室相談員を継続する計画とお聞きをしております。また、要項では、勤務は週三日程度となっておりますが、学校の実態に応じまして日数をふやしたり、あるいはスクールカウンセラーとの併用など弾力的な運用が図れるようにしたいと考えております。 さらに、子供たちの心のケアの問題は、より専門性が望まれております。このため、子供たちや保護者の相談に応じたり、教職員に対する専門的な指導・助言を行うカウンセラーの養成やその確保につきましては、国に要望をしているところでございます。 次に、高校の入試制度につきまして、まず学区制についてのお尋ねでございます。学区制につきましては、本県は大学区制と中学区制をあわせた四学区制をとっております。現行の学区制は、個々の生徒に自己の意思や適性に応じて、複数の高等学校の中から学校や学科の選択の自由を認めているところに特色がありまして、個性を大切にするこれからの時代の教育により適合した制度であると考えています。また、全国的な状況から見ましても、標準的なものでありますので、学区の縮小については現在のところ考えておりません。 次に、定員内不合格についてのお尋ねでございます。いわゆる定員内不合格の問題は、中学校までの基礎学力の定着や、将来の進路への自覚を深め目的意識を持たせるための取り組みを推進するとともに、中学校と高等学校が連携を強化しまして、その減少に努めております。また、高等学校では、できるだけ就学の機会を確保するという方針で、努力すればその学校の教育課程を履修できる学力や意欲のある生徒の受け入れをしております。 こうした取り組みによりまして、本年度のいわゆる定員内不合格者は二百四十三名で、昨年度の三百八十一名に対しまして百三十八名の減少となり、一定の成果が上がっていると考えております。 次に、来年度の中学校卒業見込み者数と定数設定についてのお尋ねでございます。平成十一年三月の中学校卒業者数は約九千八百四十人で、本年の三月に比較しますと二百三十人程度の減少となる見込みでございます。定員設定は、この卒業見込み者数や推定進学率、また普通科と専門学科の割合などを総合的に判断して定めております。 次に、高知市と南国市に各一校の新設校をつくることについて検討すべきではないかとのお尋ねでございます。中学校卒業者数を推計してみますと、年々減少する傾向にありまして、平成十七年三月には本年の三月に比較して、県全体で約二千五百七十名、二六%の減、高知学区でも一千百九十名、約二八%の減少が見込まれておりまして、このことは大規模校の解消に一定つながっていくものと思います。また、来年の春、校舎が完成をします高知小津高等学校の入学定員におきまして、大規模校との学級調整を行うことといたしております。このようなことから、高等学校を新たに設置する状況にはないと考えております。 最後に、高校問題検討委員会を再開するなど、高校の入学制度について広く意見を聞く場を持つべきとのお尋ねでございます。平成六年度に県立高等学校教育問題検討委員会から、「生徒減少期における学校・学科の在り方」及び「県立高等学校の入学者選抜」に関する提言をいただきました。これらの提言を受けまして、これまで水産高校の再編整備や総合学科の設置、あるいは中高連携教育の実施、また推薦入学制度の拡充など、高等学校教育の充実・発展に努めております。 また、平成八年度には、県内各界の有識者から成ります土佐の教育改革を考える会で、本県の教育全般につきまして幅広い議論をいただき、現在その提言に沿いまして教育改革に取り組んでおるところでございます。 一方、中央教育審議会では、二十一世紀を目指した教育のあり方について審議がなされております。こうしたことから、近い将来、本県の教育のあり方につきまして議論の場を設定する必要があると思いますが、本年度はまず当面の課題であります中高一貫教育のあり方につきまして、研究会議を設置し検討をしてまいります。 以上でございます。 (健康福祉部長山崎淳一君登壇) ◎健康福祉部長(山崎淳一君) 福祉行政についての御質問にお答えをいたします。 まず、児童扶養手当の所得制限が強化されたことによって支給停止になる人数についてのお尋ねでございます。今回の所得制限の見直しによりまして、約五百二十人が全額停止になると見込まれております。 次に、国に対する働きかけと独自の救済措置についてのお尋ねでございます。このたびの見直しは、制度発足後三十年余りの間に、離婚による母子家庭の増加や母子家庭をめぐる働く環境の変化、また母子世帯以外の子供を持つ低所得世帯が多数存在することなどの環境の変化を受けまして、単に手当の支給だけでなく、就労対策などを含めた総合的な母子家庭等自立支援制度となるよう、幅広い観点から行われたものでございます。 この見直しでは、所得限度額が引き下げられる一方で、父親に認知された未婚の母子家庭を支給の対象としたことや、今回支給対象外となる方に対して、母子福祉資金貸付制度の中の児童扶養資金の貸付対象とするなどの新たな措置が講じられております。この制度は、ことし八月から実施となりますので、当面その推移を見守ってまいります。 また、今回の見直しは一定やむを得ない措置であると思いますので、新たな手当制度の創設よりも、就労支援対策を初め、母子家庭への介護人派遣事業や相談支援事業などの施策の充実強化を図ることによりまして、母子家庭の自立につなげてまいりたいと考えております。 次に、児童扶養手当の受給世帯数と、その中で母子家庭医療が受けられない世帯数が幾らになるか、また、医療費助成の支給基準についてのお尋ねでございます。平成十年六月現在、児童扶養手当の受給世帯数は約五千七百世帯でございます。このうち母子家庭医療費助成の受給対象世帯は約三千六百世帯となっておりまして、約二千百世帯の方が母子家庭医療費助成の対象外になっております。 母子家庭への支援につきましては、所得税非課税世帯を対象としております現行制度の所得要件の緩和よりも、前段お答えいたしましたように、就労促進や福祉資金の貸し付け、また相談事業などの充実強化に取り組むことによりまして、母子家庭の自立につなげてまいりたいと考えております。 最後に、母子家庭医療費の支給手続の改善についてのお尋ねでございます。現行の母子家庭医療費支給の手続につきましては、受給者証の交付を受けた後、婚姻等により受給の要件を欠くことになる場合も多くありまして、この要件の確認が課題でございました。しかしながら、受給の手続や医療機関の窓口での支払いに対する負担感が大きいといったこともございますので、今後は医療機関の窓口で自己負担分を支払わなくてもよいような制度の改善を検討してまいります。 以上でございます。 (三十一番米田稔君登壇) ◆三十一番(米田稔君) それぞれ御答弁いただきまして、ありがとうございました。それでは、再質問をさせていただきます。 一つは、周辺事態措置法案についてですが、この十六日に、米軍や自衛隊基地を抱える自治体の全国協議会という組織等に対して、自治体に求める米軍への軍事協力の内容の一部が説明をされています。その中身は、空港や港湾の使用とともに、公共建物、公営バス、救急車の使用、公立病院の利用まで広がっています。これ以外にも協力内容を広げるというふうにしているわけであります。ますますアメリカの起こす戦争に自治体や民間を総動員するという危険性が、明らかになってきつつあるというふうに思います。 先ほど、知事は答弁で述べられましたが、先日六月二十三日付の朝日新聞で、基地を抱える長崎県の佐世保市長は、「周辺有事で「市立病院を貸して」と言われても、多くの傷病アメリカ兵を運び込めば、病む市民を追い出すことになりかねず協力できない」というふうに語っています。山口県の岩国市長も、「協力することによって住民が福利厚生面で制限を受け、危険なめにさらされるならば、市長として、国に対しきっぱりと断らざるを得ない」というふうに強い懸念を表明されていますが、ぜひ再度、知事の管理権限のある港湾等についての使用に対して、毅然とした対応を求めたいと改めて思いますが、御所見があればお伺いをいたします。 それから、農林産物のことですが、もともとWTO体制というのは、ある意味では農産物輸出国に都合のよい体制になっているわけですから、そういう点では自由貿易体制を無視できないというふうに言われますが、現に自由貿易体制にあるヨーロッパ諸国は自給率の向上を最大限努力されております。その国が政策的な努力を大いにやっているわけですから、日本だけが異常な農産物の輸入国になっていると言っても過言ではありません。そういう点では、農業関係者の悲痛な叫びを代表して、国に対して自給率の向上、農産物輸入の制限について強く要望すべきと思いますが、この点についても改めてお聞きいたします。 補正予算についてですが、私の質問は、国の事業について受け入れなかったものを具体的にどういう判断でというふうに聞いたわけですが、その点は詳しく説明されなかったように思います。受け入れなかった事業の内容いかんが、知事の対応の評価に大きく影響するとも思うわけです。改めて、受け入れなかった事業についての判断、基準と、具体的な事業について明らかにしていただきたいと思います。 教育の問題ですが、教育長に再質問をいたします。教育費の父母負担について、実態の把握と認識について伺いたいと思いますが、先ほど公費で負担すべき予算の確保に努めるということで、各学校のヒアリングと実態把握に努めるというふうに言われました。それはぜひやっていただきたいのですが、私が言っているのは、父母負担が大変なところへ来ているという実態をどのように教育長は受けとめられているのかという思いが、率直に言って伝わってこなかったというふうに思います。 御承知のように、総務庁が調査をいたしておりますが、少子化対策の問題でもよく例に出されますが、理想の、子供を産もうとしない理由に、一番に一般的に子育てに金がかかるというのが三七%で、次に子供の教育に金がかかるというのが三四%にも及んでいるわけです。父母にとっては大変な父母負担を強いられているという実態を見過ごすことはできないというふうに思います。 私は、今の教育長の父母負担問題の答弁では、教育は無償というこの原点に対して、率直に言って十分な受けとめがされていないというふうに思います。改めて、父母の皆さんからも父母負担の実態について、高知県教育行政として実態を把握するために調査をできないか、この点についてお伺いをいたします。 それから、高等学校問題検討委員会のことですが、私も答申を見させてもらいましたが、この中身は、例えば大規模校問題についてどんなふうに結論が得られているかといえば、一学年九学級以上の大規模校はその当時は六校ある、適正規模は六学級から八学級ですというふうに述べながら、しかし検討の結果は、学校運営、生徒指導の面から、一学年十学級が望ましい、十学級を超えても魅力ある学校づくりができるということで、率直に言って、大規模校解消への父母や現場教員の皆さんの期待にこたえる十分な検討内容になっていないというふうに言わざるを得ません。そういう点では、ぜひ高校問題検討委員会を、現場の先生や子供たちのそういう実態に見合ったものにするためにも、再度組織を再編強化して検討すべきだというように思いますが、この点について再度お伺いをいたします。 あと母子家庭医療については、具体的な制度の改善を約束されましたので、ぜひ御苦労の多い母子家庭の皆さんの負担を少しでも軽減するために、できるだけ早く改善を望んでおきたいというふうに思います。 以上で、第二問を終わります。 (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 米田議員の再質問にお答えをいたします。 まず、周辺事態安全確保法案についての御質問がございました。御指摘にありましたように、次第に国からの協力要請というものの内容は何かということが具体化してきていることは私も承知をしておりますし、また、病院とか交通機関等まで及んでくるときに、いざというときに県民生活に影響を与えかねないということは私も十分に認識をしております。 そうした中で、仮に法案が成立をし、またこうした周辺事態と認定できる出来事が起きたとき、そして国からの要請を受けたときに県としてどうするかという重ねての御質問でございますが、そのような場合、つまり本県に協力の要請がございました場合には、当然のことながら個々具体のケースごとに、県民の生命・安全・財産を守るという観点に立って判断をし、また対応をしてまいりたいと思います。 次に、農林産物の輸入についての再質問がございました。この点については、これまでも私重ねて申し上げておりますが、現在の日本の経済の流れということを考えたとき、自由貿易によって工業製品などで稼ぎ出したお金というものをもとに、農業の基盤整備等の活動もなされております。そういうことから、自由貿易の体制ということを無視して、すべて輸入農産物を拒否すればいいということは言えない状況にあろうと私は思います。 ただ、おっしゃるように輸入農産物によって、農民が非常に大きな打撃を受けているということは事実でございますし、そのことは重く受けとめなければいけません。また、ヨーロッパ等での実情と日本での実情というものに差異があるということも事実であろうと思いますので、そういうことを踏まえて、きちんとやはり国は国の立場で交渉をしていただきたいということを思います。 次に、補正予算において、国庫補助に関して受けなかった事業は何か、もう少し具体的に述べよというお話がございました。この国庫補助事業の箇所づけに関しましては、国の作業日程というものが官庁ごとによって異なっておりますから、県の補正予算の編成作業に合わせて国と事前に調整ができた事業、またそれが間に合わなかった事業がございます。つまり、もう少し詳しく言えば、県の予算編成方針というものをもとに、国と事前に調整をして予算に計上をしておりますもの、また逆に、国から示された事業の中から予算編成方針に基づいて選択をして計上したものなどがございます。 このような意味から、具体的な事業ごとに、国に返上した事業なのかそうではないのかといった明確な線引きができません。また、国から示された額が、先ほど申し上げたように事前の調整等もございますので、すべてが幾らであるとか、また返上した額が幾らであるかということも県として把握はできません。 あわせて、今回の補正予算は経済対策が主な目的でございますけれども、財政構造改革を推進します中で、予算の質的な転換を図るという意味から、県として主体的に事業を選択して予算を編成しております。こうした立場から、さらに言わせていただければ、国庫補助事業というものは、地方の行政の需要に対して国から補助金が交付をされるというものでございますので、本来返上するとかしないとかいったような言葉の使い方は、私は地方分権の時代にそぐわないのではないかと思います。 私からは、以上でございます。 (教育長吉良正人君登壇) ◎教育長(吉良正人君) 再質問にお答えをいたします。 まず、教育費の父母負担の問題でございますけれども、先ほどもお答えいたしましたように、できるだけ軽減をしていく方向で取り組む必要があると思っております。そして、高校のPTA会費の問題につきましては、学校と毎年ヒアリングをしておりますので、そういったヒアリングを通じまして、その実態を十分把握して、指導すべきものは指導していく、また予算の確保の必要なものは努力をしてまいりたいと考えております。 次に、高等学校問題の検討委員会の件でございますけれども、先ほどもお答えいたしましたように、今中教審の中間報告が出て、答申がこの夏に出る予定でございます。そういったことも受けまして、高校問題だけではなく本県の教育のあり方について、幅広く御意見をもらう場というのが今後必要になってくるのではないかというふうに思いますが、ことしは中高一貫の問題について研究をスタートすることとしておりますので、そういったものをやり、近い将来に、またそういう議論の場も必要であるというふうに思っております。 以上でございます。 (三十一番米田稔君登壇) ◆三十一番(米田稔君) それぞれ答弁いただきまして、ありがとうございました。 ぜひ周辺事態措置法については、県民の安全と生命を守るという立場をぜひ知事にも貫いて頑張っていただきたいというふうに思います。 最後に、財政問題では、深刻な財政状況のもとで一定努力もされています。県民の安全と健康、福祉を保持するという自治体本来の原点を貫きつつ、財政再建を進められるよう強く要望し、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(土森正典君) 暫時休憩いたします。 午前十一時三十八分休憩--------------------------------------- 午後一時一分開議 ○副議長(東川正弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 三番浜田英宏君。 (三番浜田英宏君登壇) ◆三番(浜田英宏君) それでは、お許しを賜りましたので、一般質問を行います。 去る七月一日、四国では二番目、全国では十三番目となる中芸広域連合が発足いたしました。発足に至るまで、知事を初め執行部の皆様に大変御尽力を賜りましたことを、この場より厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。 広域連合は、市町村の自立性・自主性・一体性が三位一体となって初めて地方分権の受け皿としての礎ができてまいります。中芸広域連合は、立ち上がったとはいえ、その礎もまだ十分とは言えず、まさに手探りの状態です。しかし、県内の他の市町村からも注目をされている中、何としても成功のモデルケースとして軌道に乗せたいと願っております。ゆえに、引き続き県としての指導・助言をお願いしたいのです。知事としての広域連合に対する今後の取り組みについて、まずは御所見をお伺いしたいと思います。 また、地方分権推進委員会のこれまでの四次にわたる勧告の内容をほぼ踏襲する形で、このたび五月二十九日に閣議決定をされた地方分権推進計画を、知事はどのように評価をされているのでしょうか。また、近く予定をされている第五次勧告に地方を代表する知事として何を期待したいか、御所見をお伺いいたします。 さて、高知県をイメージさせるものといえば、西部の四万十川は今や全国ブランドとなってまいりました。では、東部はと聞かれれば、はてなと答えに困っておりましたが、最近は室戸海洋深層水を使った商品が少しずつ市場に定着をしてきた結果、自信を持って「東部は室戸海洋深層水だ」と言えるようになったと思います。 我が家においても、実際、清酒に水ようかんといった甘辛部門から、豆腐にかまぼこ、コンニャクにところてん、干物に漬物、果ては子供たちが好んで食べるパンやアイスクリームやミネラルウオーターまで、まさに深層水尽くしの食生活であります。また、それがはっきり言って不思議とおいしいのです。まさに魔法の水であります。このように海洋深層水商品が市場に一定定着しつつあるのも、県が平成七年十月から民間企業や団体への分水を積極的に行ってきた一つの大きな成果だと私は評価をいたしております。 これらの民間業社の中で、現在海洋深層水原水そのものを使用している業者が三十六社、脱塩水を使用している業者が十四社、その中で原水と脱塩水を使用している業者が九社、また、濃縮水を使用している業者が七社ございます。これらの業者へは、民間での海洋深層水の研究促進という観点から無償で提供されており、大変感謝をされております。 ところが、現在計画中の新たな事業専用の取水施設は、海洋深層水原水のみの供給と有料化を前提に検討されているとお聞きいたしておりますが、関係業者は、今日まで商品開発に一定の投資をしてきた中、新しい取水施設で脱塩水や濃縮水を供給してもらえなければ、独自で脱塩装置を購入しなくてはなりません。しかも、その装置は高価な代物ですし、業者も深層水関連の商品だけでなく他にも多数の商品を製造している中、ごく一部分の深層水入りの商品を製造するためだけに大きな設備投資をすることは、零細企業で、なおかつ厳しい昨今の情勢から大変な難題となっております。また、有料となれば、その分水価格によっては商品の生産コストにも影響しますし、せっかく定着してきた商品価格へもはね返ります。 そこで、このような業者の不安のもととなっている新しい事業専用の取水施設での脱塩水や濃縮水の供給体制をどのように考えているのか、また、有料とする場合、その分水価格の設定はどのくらいを見込んでいるのか、あわせて海洋局長の御所見をお伺いしたいと思います。 さて、合理化問題で姿を変えようとしている林野庁は、去る十三日、本県の九営林署を安芸、大栃、本山、中村の四森林管理署に統合することを決定いたしました。事前に情報を察知した馬路村は、村を挙げて営林署の存続要望に東奔西走いたしましたが、そのかいもむなしく画一的な手法でばっさりと切られてしまいました。林業で支えられてきた村が営林署の廃止で存亡の危機に直面したと言っても過言ではなく、職員の引き揚げに伴う大きな人口減は、交付税の減少などさまざまな形で馬路村の活力に大きな影響を与えてまいります。広域連合がスタートし、明るい光が見え始めたやさきの出来事に、多くの村民は強い衝撃と失望感に襲われ、気力を失いかけております。 今日まで馬路村は、過疎に歯どめをかけようと「ごっくん馬路村」や山村留学制度やフルマラソンなど、村民こぞって必死に頑張ってまいりました。こうした村民の努力をむだにするわけにはまいりません。県も馬路村に対しては随分と御配慮をいただいてまいりましたが、このたびの営林署廃止という出来事を一つのばねにしてさらに頑張ろうとする馬路村に対し、県としてのさらなる支えも必要と思います。県としての今後の林野行政への取り組みを含め、知事の御所見をお伺いしたいと思います。 さて、平年より随分早く梅雨も明け、これ以上の雨に降られることもなく、関係者も一安心をしているところだと思います。しかし、このたびの雨が高知県に残したつめ跡は大きく、さまざまな被害を与えました。災害査定の結果がまだ出ていないので正確な被害金額はわからないものの、かなりの額になることは予想できます。その被害も、被害額として数字にあらわれない事柄もたくさんございます。 例えば、国道五十五号の土砂崩れ一つをとってみても、安芸市へ会議に出かけた町医者が通行どめで診療所に戻れず、入院患者を残したままホテルで足どめを食らったり、透析患者が病院に行けなかったなど命にかかわる事柄や、塾や学校に通う子供たちや通勤者が家に帰れずホテルや旅館に泊まることを余儀なくされたり、高知市へ品物を運ぶために、室戸回りの県境越えで徳島県から百九十五号を七時間も迂回することを余儀なくされたり、物流や生活者への影響も甚大なものがありました。 国道五十五号と国道百九十五号を結ぶ縦のラインが、ふるさと林道等でせめて一本でも整備をされていたならばこんな事態は避けられたのに、あるいは県道と国道、市町村道と林道等を結ぶ横のラインが整備されてさえいればなど、県民からの不平不満を挙げれば枚挙にいとまがないのが高知県の東部地域の道路事情であります。 図らずも企画建設委員を二年間連続で務めますと、県内の道路状況や事業の進捗もよくわかってまいります。幡多地域は、海岸を走る国道五十六号と山間部の国道四百三十九号を結ぶ県道や市町村道がはしご状につながっているし、土佐清水市の大岐の浜と竜串海岸を結ぶふるさと林道や、大正町―中村市間の杓子峠を越えるバイパスや長大トンネル、また、土佐市高岡―宇佐間の塚地バイパスや塚地トンネル等を見るにつけ、県東部出身の私にとってはうらやましい限りの事業が西部にはメジロ押しであります。 そこで、私も東部の可能性を探ってみたいと思います。私はバイクに乗ることも大好きで、県内の林道ツーリングも議員になるまではよく出かけました。そこで、比較的実現性の高い夢を述べてみたいと思います。五万分の一の林道地図を広げてみますと、国道五十五号から安芸市別役を通って徳島県木頭村へと結ぶ東川千本谷林道は、あけぼの街道・国道百九十五号の剣山スーパー林道の入り口近くへ通じる東部唯一の縦軸でありますが、オフロードタイプの車かバイクでないと無理があります。しかしながら、徳島県側が村道なのか、あるいは国有林道なのかわかりませんが、国や徳島県と協議をして整備の可能性を探ってみてはどうでしょうか。木頭村の村長さんも航空機を利用するときにはいつも高知空港を利用されておられますので、意外と話に乗ってくれるかもしれません。 また、ただいま述べた安芸市から木頭村に通じる東川千本谷林道の県境近くにある安芸市土居部落と、馬路村の魚梁瀬公園線から千本山の西川、西又谷の国有林道が最も接近した箇所で、直線距離で約二千メートル足らずの道路を整備することで、魚梁瀬と安芸市と木頭村の三つを結ぶことができます。これも国と協議をすれば実現可能だと思いますが、検討してはどうでしょう。 また、魚梁瀬から大木屋小石川林道を通れば、海部川上流の部落である徳島県海南町平井へと結びます。そこを南に下れば国道五十五号へタッチし、北へ上れば木頭村の国道百九十五号へと結びます。ここも、最低地上高が二百ミリ前後の普通車なら現在でも通れますので、そこそこ整備をすれば一般の普通車でも通れるようになります。こちらの可能性も高いと思います。 幾つか述べましたが、この中で特に、現在、県道安田東洋線の安田町与床が通行どめで不便を強いられて困っている馬路村の方々にとって、安芸市伊尾木に抜ける国有林道猿押線と林道奥栗一谷線を整備し利用すれば、安芸市に最も早くアクセスすることができます。この林道は、ふだんでも無理をすれば通れないこともないですが、久々バイクにまたがって調査をしましたら、五月十六日の雨の影響ではけてがたがたになっておりました。 しかし、今後は森林管理署として安芸市に統合された営林署の職員にとっても、また馬路村村民や県民にとっても、県道安田東洋線が土砂崩れ等不測の事態で孤立をした場合、安芸市方面への迂回路としては最適なコースであります。市道、国有林道、町道、村道とまたがるコースですが、国や市町村とも協議をしながら、近い将来ぜひとも整備を願いたいと思います。 このように、私が可能性を探ってみただけでも、東部地域の迂回路を確保するルートが幾つか想定をされます。迂回路も満足にない県東部地域の道路ネットワークをつくり上げていく必要があると考えますが、どのようにお考えか、また、関係機関も多い中どのようにして進めていくつもりか、土木部長の御所見をお伺いいたします。 再び災害に弱い国道五十五号の話に戻りますが、特にここ数年、たび重なる土砂崩れによる通行どめで多くの県民がしびれを切らす事態が続いております。こうした不測の事態における県民の生活圏を確保するという視点に立って、東部自動車道の整備促進を真剣に考えていくと、空港インターチェンジから高速道路を順次安芸市方面へ延ばそうとする手法では、いつまでたってもこうした問題の解決には至りません。 そこで、東部自動車道や地域高規格道路を防災の視点に立って、一番肝心な箇所から早急にバイパス的に整備をする手法を東部県議団の総意として再度強く要望したいと思います。橋本知事の御決意をお伺いしたいと思います。 また、東部地域総合開発計画推進協議会の会長のポストが、山本前副知事から河野副知事に引き継ぎをされました。この計画は、東部地域の自治体の連携や主体性が最も重要でありますが、その主体性を先導させる県の姿勢も大切です。会長がかわられて初めて開催された先般のこの東部計画推進協議会において、副知事は、まずは市町村長への顔見せのつもりだったと思いますが、我々県議としてみては、副知事がきっと何かよい土産話でも携えてきてくれるに違いないと楽しみにしておりましたのに、少々残念に思いました。この計画に寄せる思いやアイデア等のリップサービスがもう少し欲しかった。子を思う母心、そんな意味からお母さん役を副知事に演じていただきたいという首長からの意見も出たのだと思います。 縦割り行政の壁も少しずつ取り除かれようとしている現在、またさきに述べたように、林野庁も姿を変えようとしている将来、国とも協議をしながら、国道四百三十九号のような機能を持つ、夢のようなプロジェクト道路等が東部地域総合開発計画の中にあってもよいのではないかと思うが、副知事はどうお考えになるか。この計画を絵にかいたもちで終わらせないためにも、副知事としてのアイデアや今後どのように取り組んでいかれるのか、決意をお伺いしておきたいと思います。 さて、この五月の平均気温は観測史上最高で、高知市で摂氏二十一・七度を記録いたしました。また、雨量も記録的で、豪雨に見舞われた五月十六日には史上最高の一日雨量二百四十一・五ミリを記録し、県東部の東洋町野根の大斗地域では、何と降り始めから十七日午前五時までの間に九百五十八ミリを記録し、同じく室戸市佐喜浜の桑の木地域で八百九十六ミリの連続雨量を観測いたしました。この豪雨のため、東部の国道、県道は土砂崩れが相次ぎ、さきにお話ししたとおり多くの県民がいまだに不便な生活を余儀なくされております。 また、現在建設中の阿佐線沿線においても、軌道わきののり面に土砂崩れが発生し、鉄建公団が復旧作業を進めております。先般は、土佐くろしお鉄道が大方町で人為的ミスから事故が発生いたしました。死者がいなかったのは不幸中の幸いとしても、多数のけが人が出たことはまことに遺憾なことであり、土佐くろしお鉄道に対し注意を喚起するとともに、負傷者の一日も早い御回復を祈るばかりであります。 現在建設中の阿佐線においても、既に工事が完了した箇所で年数が経過し、部分的に補修や改良が必要なところもあるでしょう。また、沿線の地形も年数を経て随分と変化している可能性が見受けられます。開通をしてから事故につながらないよう、のり面等は十分な保守点検と整備が必要でありますが、今の建設予算の中にそうした経費は織り込み済みなのか、企画振興部長の御所見をお伺いいたします。 さて、地方鉄道AB線も来年一月に岡山県の井原線が開通をすると、日本最後の清流ならぬ日本最後のAB線として阿佐線の整備を残すのみとなりました。これは、さきに開通した宿毛線に予算を傾斜配分した結果であると認識をしております。現在、九三%の用地を確保し、既に七二%で着工済み、そして本年九月までには残りのすべての用地確保に向けて取り組み、第五十七回よさこい高知国体の開催される年--平成十四年六月完成に向け、維新前進で全力投球をしていかねばなりません。 しかし、国のAB線予算は財政構造改革の名のもとに、平成十年度には百四十六億円から百十八億円に縮小されました。また、地方鉄道新線整備促進資金の借り入れは、後年度の十二年度と十三年度に鉄道建設予算で返済をしなくてはなりません。ゆえに、現在もその予算措置のため、阿佐線への予算配分は現行予算の百十八億円満額というわけにはいかず、平成十四年六月完成のためには、平成十年、十一年で沿線市町村が七十四億円の地方鉄道新線整備促進資金の借り入れを行い、それに伴う見込み金利の二億八千四百万円を鉄道経営助成基金を取り崩して支出することとなりました。 しかしながら、七十四億円の借り入れをしても、現行予算配分が継続しない限り、平成十四年六月の完成は見込めません。国の鉄道予算は年々減少しておりますが、高齢化の時代を迎え、車の運転ができない高齢者や子供たちにとって阿佐線はどうしても必要であり、鉄道か高速道路かという二者択一の問題ではありません。県として、鉄道予算の確保についてどのような考え方を持っているのか。また、七十四億円の借り入れは市町村にとって大きな選択であり、最初で最後でありたいと願っております。このことについてどうお考えであるか。また、ダイヤ編成やJRの乗り込みなど、開業に向けた取り組みを始めなくてはならないと思うが、その時期をいつに設定しているのか、あわせて企画振興部長に御所見をお伺いいたします。 また、建設予算の堅持がなされたとしても、地方鉄道新線整備促進資金借入制度により建設予算を確保しなくてはなりません。その金利負担は阿佐線建設促進協議会としては予定外の支出であり、基金を取り崩して金利の支払いに充てることによって不足するこの鉄道経営助成基金の再造成について、土佐くろしお鉄道の筆頭株主である県は関係市町村と一体となって、これまでの基金造成と同様の取り組みをすべきではないかと思います。 また、今後は、開通後の運営も視野に入れた沿線住民のマイレール意識の涵養を図るとともに、民間寄附金による募金活動にも引き続き積極的に取り組んでいかねばなりません。さまざまな取り組みに関係市町村も財政負担が予測されている中、国体競技施設の整備も同時期に並行して行わなくてはならず、さらなる財政負担が追い打ちをかけてまいります。こうした状況の中で、基金の新たな造成を含め、駅舎整備、駅前広場など駅を中心とした拠点づくりや環境整備や施設整備についても、県のアドバイスや人的な支援が欠かせない状況にあると思いますが、どのようにお考えになっているのか、知事の御所見をお伺いいたします。 さて、再び災害の質問に戻りますが、このたびの豪雨で南国市奈路において幼い兄弟が土砂崩れのために亡くなり、佐川町でも男の子が増水した水路に転落し、翌日痛ましい姿で発見をされ、多くの人々の涙を誘うと同時に、「暗渠入り口に防護さくを」の要望が県民世論として高まっております。こうした水路は、県内に数多くあり、市町村の管理に置かれているところが多いと思いますが、少子化の時代、そのとうとい命を大切に育てるという意味においても、県として何らかの対応策や市町村に対する指導等を考えるべきと思うが、総務部長に御所見をお伺いいたします。 また、子供を大切に育てるという視点に関連して、現在県内の公立小中学校の学校給食の現場では、メラミン樹脂製の食器を使用している学校が八十校、ポリカーボネート製の食器を使用しているところが百七十一校あります。御承知のとおり、ポリカーボネート製の食器からは環境ホルモンの一種であるビスフェノールAが溶け出し、子供たちの成長・健康に影響を与えるとの研究報告があり、その実態が少しずつ明らかになりつつあります。 しかし、高温度で使用しない普通の取り扱いでは、ビスフェノールAは溶け出さないとも言われているし、現在の食品衛生法の基準からすれば基準値以内なので問題はないとする県と、それとは逆に、成長の段階で子供たちの体にどのような影響があるのか明らかでない部分もあるが、既に疑わしいことがわかりつつある昨今、子供たちの健康を優先させることを第一に考え、環境ホルモンが溶出しないポリプロピレン素材にかえるよう指導するという、対応の早い県もふえているのが現実であります。 県内の学校給食現場の食器についてどのようにお考えか、また、今後、新たに購入の際、県教委としてはどのように指導するのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 また、私は専門家ではないのでよくわかりませんが、メラミン樹脂製の食器も製造の過程でホルマリンと反応させるようですが、環境ホルモンの心配はないのでしょうか。また、ことしの二月末に厚生省の指導に基づいたビスフェノールAの材質基準五〇〇ppmを大幅に上回る九〇〇ppmもある「くまのプーさん」と呼ばれる食器が二百四十個県内で回収をされております。学校給食の現場や保育所や民間の託児所で使用される食器類の安全性について、県はどのように指導しているのか、健康福祉部長の御所見をお伺いいたします。 ところで、お隣の徳島県海部郡は、南海大地震で多くの犠牲者を出した反省から、防災問題には特に熱心で、津波に対する体制はさすが驚くばかりのものがあり、高知県と比べれば雲泥の差であります。私は、平成七年六月議会におきまして、県の防災計画の中で想定する地震規模マグニチュード八に対して、「宝永大地震」の記録を例に取り上げた上で、マグニチュード八・四の危険性を指摘し、想定する地震規模の見直しを求めましたが、当時の地震被害想定委員会の検討の結果、歴史的に何度も高知県に被害を与えてきた地震と同じタイプ・クラスのものを想定するのが合理的だという判断のもとに、見直しはしないという当時の清田総務部長の答弁がございました。これには私も少々不満に思ったことでございました。 それから三年後のことし、第一回南海地震津波防災検討会が行われ、顧問である京都大学防災研究所の川田教授が、高知県の取り組みがまだまだ不十分だと指摘し講演を行いました。検討会での議論を踏まえて、県として今後の防災計画の見直しや基本的な取り組み方針を明らかにされたい。また、築後四十年が近づこうとしている県庁の本庁舎が、想定する地震規模に耐え得る構造物なのか、お伺いをしたい。 現在、本庁舎は小型消火器と各階の消火栓だけであり、閉庁時のスプリンクラーもない状態では初期消火の防火体制も不十分であり、もし高知県の防災の司令塔である県庁舎が火事になったり、あるいはマグニチュード八以下の地震で倒壊し、屋上のアンテナも壊れ全く機能しなくなったら、高知県全体がさらに大きなパニックに陥ることは確実であります。今からでも間に合うのならば、防火体制も万全で、ヘリポートもあり、免震構造である県警本部庁舎の交通管制システムに隣接する部屋に防災関係のシステムを移すようなお考えはないか、総務部長に御所見をお伺いいたします。 また、県警本部庁舎建築のために、平成十年度に十億円、平成十一年度に四十二億円を取り崩して底をついてしまう庁舎建設基金と県庁舎の耐用年数について、どのようなお考えを持っているのか、あわせてお伺いいたします。 また、約五十七億円あった施設等整備基金は、現在約八億三千万円残っておりますが、それも今回の補正で底をついてしまいます。また、減債基金の約五百七十億円は、特別に流用できる額はわずかであります。ゼロからスタートする庁舎建設基金の造成は、いかに財源を捻出するのか方法を考えなくてはなりません。国際規格であるISO14001の認証を取得し、環境マネージメントシステムを導入することによって、通常業務における環境への負荷の軽減を図るとともに節税につなげていくことも大切ですし、県税収入の増加など自主財源の確保を図っていくことも大切です。方法は幾つか考えられます。 県税収入の視点から考えますと、法人税、法人事業税の実効税率四〇%前後のグローバルスタンダードな税体系を目指して、一九九九年から二〇〇〇年を目途に税制改正をしようとする政府税調の考え方からすれば、例えば九八年度の総額四兆円の特別減税の実施により、高知県は勤労者の平均所得が低いので特別減税の恩恵は少ないのが現実ですが、夫婦と子供二人の標準的な家庭で約三百六十一万円の課税最低限が実質約四百九十一万円ぐらいまで上がり、納税をしなくても済む方々がふえて、その人口が一千八百万人から一千九百万人に達してしまうという新たなひずみ現象も起きてまいります。 そこで、課税最低限を思い切って低く設定し、税率を下げて減収になる分を広く、薄く、あまねく負担をいただくことで税収を確保しようとする考え方が議論されております。法人税や法人事業税もこれと同じような考え方があり、低迷を続ける日本経済が底なし沼から抜け出すために、サッチャーやレーガンが行ったように、企業に対する減税を行い体力の回復をさせていこうとする考え方がうかがえます。 そこで、県税である法人事業税率の軽減ということになるわけでありますが、これについては、今議会の報第二号の条例改正の専決処分報告として議題に上がっております。今まで高知県では、法人所得三百五十万円以下の税率が六%であり、七百万円までが九%、七百万円を超えると一二%の税率を採用しておりました。この税率が、今回の地方税法等の一部を改正する法律として三月三十一日に公布されたことに伴い、六%を五・六%に、九%を八・四%に、一二%を一一%に下げたわけであります。したがって、単純に考えて、約十億円から十二億円の法人事業税の減収になる可能性があります。 また、現行四六・三六%の実効税率を四〇%へ下げるについて、その下げ幅六・三%が地方税の法人事業税にかぶってくる可能性が大きく、地方はさらに税収減につながる可能性を秘めております。そうなりますと、県税収入の増加を図ることもまさに至難のわざと言えます。 平成九年度ベースでは、県税収入に占める法人事業税の割合は二六・三%の百六十八億五百万円であり、十億円以上の県税収入の減少は高知県にとって確かに痛い問題であります。こうしたことの穴埋め策として、前段に述べたと同じように、税制調査会があまねく公平な税負担--広く薄くの観点から、また景気の変動に左右されない安定した税収確保の観点から、法人の利益に課税するのではなく、賃金を課税ベースに加算したり、売上高に応じた課税システムである外形標準課税方式について議論をしている段階であります。 この外形標準課税については、橋本知事が政府要望のやりとりの中で一定の理解を示されたことは、地方分権を進める中で、地方税財源をどこに求めるかの議論が不足をしている今日、また自主財源の乏しい高知県の現状を危惧する余り、思わず口を滑らせたのだろうと、同じく自主財源の厳しさを痛感する議員の一人としてわからないでもないです。なぜならば、外形標準課税を実施することにより、法人事業税収入が外形標準課税実施前より増収に転じる可能性が大いにあり得るからであります。これで安定した自主財源の確保を図りたいと思うのは、知事として当然のことと思います。 しかし、私も小さい商いをしている立場の議員として意見を言わせてもらいたいと思います。政府税制調査会では、法人税の基本税率、これは資本金一億円を超える法人、あるいは資本金一億円以下の法人で年八百万円を超える法人所得に対して、三七・五%の税率を平成十年四月一日以降三四・五%に引き下げる財源として、各種引当金、交際費等の廃止や縮減といった課税ベースの見直しをしております。橋本首相も恒久減税を表明いたしました。しかし、いつまでも赤字国債に依存するわけにもいかず、税率引き下げに伴う財源として、再度課税ベースの見直しがされるのも時間の問題ではないかと思います。 税調の一部の方々の間では、今回の改正で中小企業軽減税率も三%下がって二五%になっておりますが、グローバルスタンダードな税率の議論の中では中小企業軽減税率の下げ幅については厳しい見方もされており、そうなると中小企業軽減税率の適用を受けている中小企業にとっては、これらの見直しが実質増税となり、中小・零細企業切り捨ての大企業優遇の税制改正になり得る可能性を秘めており、私も危惧を抱いております。 したがって、次回の税制改正においては、法人税率の検討がされるなら、中小企業にとって真に意味のある実質減税の実現のため、基本税率の引き下げに見合った中小企業軽減税率の引き下げも必要だと思いますし、国へも働きかけるべきではないかと思います。知事の御所見をお伺いいたします。 また、私は以前から、この法人税の現行二パターンの税率の中で、一億円もうけた企業も百億円もうけた企業も税率が同じということに対してしっくりこないところがあります。あくまでも個人的な意見でありますが、いっそのこと法人税収入の総枠の中で緩やかな累進課税方式を採用するのも一案ではないかと思います。確かに、大企業は多くもうければ株主に対してそれなりの大きな配当もしなくてはならない面できつい部分もあるが、中小企業も守っていかなくてはならないと思います。法人税の累進課税方式について知事はどのようにお考えになるか、御所見をお伺いしたいと思います。 次に、赤字国債に依存しないとすれば、課税ベースの見直しの議論の中で長年懸案となっている外形標準課税方式導入が必ず再浮上してくると思います。しかし、外形標準課税は応益課税、いわゆる赤字法人課税であり、どのような税制、税率になるのか私には見当もつきませんが、実行されれば、担税力の弱さから倒産や滞納の増加につながると思います。また、収益性の低い中小企業に対する課税が強化されることになります。 その上、赤字法人でも地方財政においては、均等割の法人住民税や評価額に見合った固定資産税等を負担いたしております。また、消費者負担が建前である消費税ですら、その転嫁の程度が低い中小企業にとっては負担感が強いのが実態でありますし、さらなる赤字法人課税の強化は、中小の経営基盤を揺るがしかねないと思います。 特に、高知県のように超零細な企業が非常に多く、そうした企業が景気の底入れを見ない厳しい不況の中で、貸し渋りに遭いながら懸命に生きながらえようとしていることは、中小企業向け不況対策として商工労働部が四月から実施をしている小口融資--不況業種向け無担保・無保証人融資制度に対して申し込みが殺到し、貸付枠を大幅に拡大せざるを得なくなったことでもおわかりいただけるのではないかと思います。この制度も企業の黒字・赤字に関係なく受けられる行政サービスでしょうけれども、五年後には利子を払って償還するわけですから、垂れ流しの補助金とはわけが違います。 地域の商店は、その街の顔として、また住民のコミュニケーションや憩いの場として大きな役割を果たしております。商店街には、農林漁業につぎ込まれる多くの保護政策に指をくわえ、よだれを垂らしながらも、農業や漁業で生計を立てる方々が潤ってこそ商店街の繁栄にもつながるとして、家業をほったらかしにしながら、まちおこしや地域づくり活動に一生懸命頑張っている多くの若手後継者がおります。そうした若い力と県との連携が大きな起爆剤になり、高速道路を初めさまざまな事業のきっかけをつくってきたという事実も忘れてはなりません。 表向きは華やかに見える商店も、裏へ回れば台所は青息吐息の火の車、自転車操業ができるだけでも幸せと思わなくてはならない大変な時代に、昔の蓄えを吐き出しながら苦しい経営をしている中小・零細の企業をこれ以上断崖絶壁に追い込むような外形標準課税は、現時点ではタイミングも悪く、地方からの意見としては極めて慎重な判断が必要と思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、鳴り物入りで登場いたしました森林保全緊急特別対策事業費の補助金の交付要綱が去る五月二十二日にスタートいたしました。間伐をして市場に出しても、経費を差し引けばポケットマネーすら残らない厳しい時代に、高知県が画期的な施策を打ち出したと、林業者にとっても大変ありがたく、明るい光が見え始めたと思っております。高齢級の杉、ヒノキの間伐に対する補助として、立米当たり二千円の県の補助に連携して、千円から千五百円の補助を上乗せしてくれる市町村もふえ始めました。その結果、反応もまずまずの滑り出しではないかと思います。 しかし残念なことに、この施策を練っていた時期からすれば材価の下落が著しく、低迷が長引いております。これから秋口にかけての材価の上昇を期待したいと思うが、大変な不況の中、市場にその上昇材料が乏しいのも事実であります。切り出しのよい条件の山は話に乗ってくれやすいと思いますが、それでも厳しいことには変わりありません。また、索道を飛ばして搬出しなくてはならないような条件の悪い山については論外です。 この秋の価格の動向を見ながら、場合によっては補助額の見直しも必要と思うが、森林局長の御所見をお伺いいたします。また、作業道整備にかかわるメーター当たり五百円の補助はもう少し検討の余地はないものか、あわせてお伺いしたいと思います。 さて、まんが甲子園も全国的に認知され、高知県を売り出す意味においても大きな効果をもたらしたと高く評価をいたしております。そこで提案ですが、まんが甲子園などでこれまで培ったシステムやノウハウを生かして、土佐の風土をはぐくみ、歴史的に活躍をした土佐の先人を掘り起こし、漫画で全国に売り出していく事業を検討してみてはどうでしょうか。高知の子供たちにも漫画で先人の偉業を紹介し、親しみを持たせることで健全で明るく力強い青少年を育て、土佐の持つ風土のすばらしさを後世に継承していくとともに全国に発信していけます。 そうすることは、地域の伝統を築き上げてきた人々の話を次の世代を担う子供たちに知らせることで地域に愛着と誇りを持つ心を育成していけますし、物語をつくり漫画で表現することで地域の個性を掘り起こすことにつながり、地域自体の価値を見直し、さらに高めることにもなります。また、物語をつくる過程そのものを地域から全国へ情報発信することで地域間の交流促進にもつなげますし、事業に携わる人々がネットワークを形成することで地域の活性化に向けた新しい波を起こすシーズとなることも期待できます。 現在、漫画ミュージアムの建設等を目的とした、高知県の漫画文化を推進するためのNPO組織が立ち上がろうとしております。市町村としては、こうした活動をハード、ソフト、経費面などででき得る限りの支援を行い、県としてはまんが甲子園でのノウハウや情報、そして情報発信等の場を積極的に提供していき、場合によっては財政的にも支援できるような事業として検討いただきたいと思うが、文化環境部長の御所見をお伺いいたします。 最後に、グリーンピア土佐横浪の経営再建及び譲渡問題について知事にお伺いいたします。大規模年金保養基地の構想は、昭和四十七年、全国十ブロックに年金受給者の保養施設として百万坪の敷地に二百億円投じて施設整備を行い、年金福祉事業団が直営するという、地方にとって魅力的な事業内容でありました。そこで本県も、議会と執行部が一丸となって誘致活動を展開した結果、昭和五十四年に全国で七番目に事業認可をいただいたわけです。 しかしながら、昭和四十八年の第一次オイルショックを転機に、低成長時代を迎え、昭和五十五年には、施設建設規模も百五十億円から五十億円に縮小され、年金福祉事業団の直営から地元運営への変更、赤字についても地元が責任を持つという大幅な方針の変更が示されました。そんなことから、当時の新聞紙上でも「五十億円はまさに国からの手切れ金のようなものだ」と評されたほどでした。このように当初の構想から大きく後退した内容になりましたが、県及び須崎市、土佐市は今さら断念するわけにもいかず、年金保養基地の運営を引き受けざるを得なくなった経緯があります。こうしたスタートの悪さが今日の経営状況に大きく影響していると思うのであります。 竜地区と光松地区の分散体制、場所も高知市から離れている、交通の便も悪い、また背後地の人口も少ないなど不利な面が指摘されると同時に、観光、レジャーの志向変化がマイナスに働くなど、グリーンピアの運営に不利な条件が重なった中で、昭和六十二年十月に、財団法人グリーンピア土佐横浪が県の委託を受け、それをさらに株式会社高知県観光開発公社等に再委託させることによってスタートいたしました。そして、この間の経営から生じる損失については、財団法人が負担する形で今日まで運営をしてまいりました。 その運営状況を見ますと、開設当時の昭和六十二年度こそ黒字でありましたが、その後は一貫して毎年赤字となっており、平成九年度末における累積赤字は八億四千二百万円、そして累積借入金は九億六千七百万円となっております。公益性の名のもとに採算性を顧みず赤字経営を続けていくことは、昨今の財政状況からしても決して容認されるものではありません。 また、一方では、年金保養基地について、年金福祉事業団からの基地資産の譲渡問題というもう一つの大きな課題を抱えております。その背景の根底には年金財団の逼迫があり、行政改革の中で官民の役割分担を明確にしようとする意図から、昨年六月には年金福祉事業団そのものの廃止と、大規模年金保養基地からの全面撤退が閣議決定をされ、国はすべての基地から手を引くことが決定をされました。 赤字続きのグリーンピア土佐横浪を抱える本県としては、無償譲渡でも引き受けをちゅうちょする状況にあるにもかかわらず、国からは施設の資産簿価の約半分程度の価格でどうかと打診をされていると聞いております。また、県や地元両市が譲り受けしない場合は、民間への売却を行うとの方針も示されているとのことであります。 国の譲渡条件にもよりますが、県、地元両市の財政状況が依然として厳しい局面にあることや、基地運営や赤字経営からの脱却の難しさを十分認識している現在、この際思い切って県としては手を引き、施設の取得を含めて民間企業に活用を任せるべきだとの声も聞きます。また、一方では、県、地元両市が譲り受けて、これまでの運営の反省に立ち、施設の活用方法もこれまでの宿泊・保養施設としての活用にこだわらず、柔軟に検討することで抜本的な経営再建策を構築して臨むべきだとの意見も聞いております。 いずれにいたしましても、本県としては、グリーンピア土佐横浪を単に閉鎖、放置し、施設の荒廃に任せるといった状況とすることなく、何らかの形で活用していくことこそが望ましい選択の方向であると思います。経営再建という厳しい課題と国が閣議決定までした基地譲渡問題が絡み合ったグリーンピア土佐横浪について、県として今後どのように対応していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 以上で、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 浜田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、広域連合に対する今後の取り組みについてお尋ねがございました。中山間にありまして厳しい条件を抱えております市町村の多い本県にとりまして、広域連合は地方分権の受け皿として有力な選択肢の一つであると考えております。こうしたことから、中芸広域連合が本県の広域行政のモデルとなりますことを期待しておりますし、今後はごみ処理の広域化や中芸地域の実情に即しました情報化の推進といった課題を五つの町村でともに検討されます中から、住民サービスの向上がより目に見えるような取り組みを進めていただきたいと考えております。 また、そうした中芸地域の取り組みの成果などを情報提供することによりまして、他の地域でも広域連合についての議論や検討が活発に行われますよう、機運を盛り上げていきたいと考えております。 また、地方分権推進計画などについてお尋ねがございました。地方分権推進計画は、機関委任事務制度の廃止や国の関与に関します新たなルールを定めますなど、国と地方公共団体との関係を上下・主従の関係から対等・協力の横の関係に転換するものでございまして、地域の実情に応じた住民サービスを提供します上で評価できる内容だと考えております。 しかし、住民に身近な事務は地方公共団体が実施するという計画の基本理念から考えてみますと、国から地方への事務や権限の移譲が決して多くはありませんし、その役割分担に応じました地方の税財源の確保も具体的には触れられておりませんなど不十分な面もございます。したがいまして、第五次の勧告では、国から地方へのさらなる事務や権限の移譲とともに、これらに要します地方の税財源の充実と確保のための方策が盛り込まれますことを期待しております。 続いて、魚梁瀬営林署が廃止をされます問題に関してお尋ねがございました。今回の営林署の森林管理署への再編に伴います設置市町村の発表は、極めて閉鎖的なプロセスで、しかもとても唐突に行われました。この情報公開の時代に、また行政の民主化が問われておりますときにこのような手法がとられたことに対しまして、また、森林・林業という地域と非常にかかわりの深い問題を一方的に決定するという国・林野庁のやり方に大きな不満と憤りを感じております。同時に、県といたしましても、情勢の把握などの面で至らなかった点を反省しております。 今回の改革は、厳しい財務状況に直面をしております国有林野事業を健全な姿にしようとするものですが、同時に国民の財産である森林をいかに適切に守っていくのかという視点も込められているはずだと思います。また、国有林はこれまで中山間地域の人々によって守られてきましたが、その一方で、国有林の伐採・管理を通じて、地域社会の生活と経済が支えられてまいりました。その意味で、国有林は、ひとり国有林野事業だけの問題ではなく、大きな地域問題でございます。にもかかわらず、このたびの決定には、基本となるべき地域社会の視点が全く見てとれませんし、画一的な役所の尺度だけで行われたとしか思えません。 このように、今回の林野庁の対応には強い疑問と不信の念を持っておりますので、あさって上京の折に、林野庁長官あてに抗議の意味を込めた要請文を手渡すことにしております。 一方、再編の個別・具体的な手順は、現時点では明らかにされておりませんが、特に馬路村につきましては、村の面積の九七%が森林で、しかもそのうち七四%が国有林でございますし、魚梁瀬地区の人口のおよそ三分の一が営林署の関係者で占められておりますので、今後の動向によりましては、地域の社会と経済全般に大きな影響が出ることも懸念をされております。これまで馬路村では、過疎化に少しでも歯どめをかけようと、林業や林産業の振興を図られますとともに、村民の皆さんが一丸となって、全国的にも珍しい家族ぐるみの山村留学制度の取り組みを初め先導的な地域づくりを進めておられますが、今回の再編によりまして、こうした取り組みの積み重ねが無になってはならないと思います。 国に対しましては、改革の具体的な内容やスケジュールを早急に明らかにしました上で、地域の声を反映した取り組みを進めますよう強く求めてまいりますし、県といたしましても、地域の活力の低下を招かないよう馬路村のお考えもお聞きをしながら、必要な支援を行っていきたいと思います。 続いて、県の東部地域の道路網の整備についてお尋ねがございました。県の東部地域にとりまして、国道五十五号は唯一の幹線道路でございますが、たび重なる通行どめによりまして地域の皆様が不便を余儀なくされておりますことは、重く受けとめております。 国道五十五号の代替の交通手段といたしましては、現在計画をされております高知東部自動車道や地域高規格道路の阿南安芸自動車道、また現在建設中の阿佐線の早期完成が必要でございます。このため、高知東部自動車道の南国―安芸間につきましては、早期の事業化を図りますため、来年春の都市計画決定を目指して準備作業を進めております。また、阿南安芸自動車道の安芸と奈半利の間につきましては、現在計画路線の位置づけでございますが、交通の途絶が多発する現状を踏まえまして、事業化のために早期に調査区間に指定をするよう国に要請をしてまいります。 また、これらの路線の工事の施工に当たりましては、お話にもありましたように、代替機能を必要とする区間から優先的に整備に取りかかっていただきますよう、強く働きかけをしてまいります。 続いて、阿佐線の今後の整備に関連してお尋ねがございました。お話にありました経営助成基金の造成や駅前広場の整備のあり方などは、阿佐線の収支をどのように見込んでいくのか、また鉄道そのものを地域の振興や発展にどのように結びつけていくのかなど、まさに地域自体の取り組みの意欲や姿勢が求められる課題ではないかと思います。 地元の市町村などで組織をされております阿佐線建設促進協議会では、近々、新たな収支見通しの作成を行いますとともに、駅舎や駅前の整備などに関します検討組織を設置いたしまして、地域にふさわしい駅前広場のあり方などを検討していくことにしております。県といたしましても、こうした検討会などに積極的に参加をさせていただく中で、率直な意見交換を重ねてまいりたいと考えております。 次に、中小企業の法人課税についてお尋ねがございました。法人課税につきましては、本年度、先ほど浜田議員からも述べられましたような形での税制の改正が行われておりますが、実効税率を四〇%程度に引き下げる方針が決められておりまして、その実施の内容について現在検討が行われております。 また、法人税の中での中小企業軽減税率の扱いや累進課税方式の採用につきましてもお話がございましたが、今ここで所見を申し上げるだけの判断材料を持ち合わせておりません。しかし、経済活動に対する税の中立性を高めることによって企業の活力と国際競争力を維持するという、このたびの法人税の制度改革の理念がございますので、この理念に即して見直しが行われるべきだと考えております。 次に、法人事業税におきます外形標準課税の導入についてお尋ねがございました。伊野部議員にもお答えをしましたとおり、このことは御質問にもありました地方分権の推進のため、つまりは地方の税財源の充実と確保のためにも意義のあることだと考えております。今後、中小の法人に対する取り扱いや導入の時期などを含めまして、さまざまな立場の方の意見を踏まえました十分な議論がなされるべきだと考えております。 続いて、グリーンピア土佐横浪の経営と今後についてのお尋ねがございました。グリーンピア土佐横浪が経営破綻と言ってもよいような状況に陥りました大きな原因は、開業以来続けてきました基地の運営方式、すなわち年金福祉事業団から県、県から財団、そして財団から営業を請け負う会社へという委託方式をとってまいりましたことによりまして、経営の責任の所在が不明確になりましたため、赤字が出てもだれかが面倒を見てくれるといった、いわゆる親方日の丸の体質がしみ込んだことに尽きると私は思います。 このため、今後の経営再建に向けた取り組みといたしましては、採算に合わない施設の営業の休止や営業経費の圧縮、さらにはリストラに向けました検討など、個々の課題への対応は当然のことでございますが、この際、現在の財団法人の組織改革を行いまして、民間の経営ノウハウを導入いたしますとともに、複雑な委託関係を整理いたしますなど、思い切った経営体制の見直しを行うことが必要だと考えております。また、こうした方向で、今後財団法人や地元の二つの市とも協議をしてまいります。 また、譲渡問題につきましては、お話にもありましたような方針が国から打ち出されてはおりますが、その後は具体的な条件の提示や意向の打診もございませんので、県といたしましては、基地の譲り受けに関しまして新たな判断をする状況には至っておりません。 この問題につきましては、これまでにも申し上げてまいりましたように、年金保養基地は国の責任のもとに対応すべきものだと考えておりますし、そもそも基地を地方に譲渡して年金福祉事業団を廃止することでは、国と地方を通じた共通の政策課題であります行財政の構造改革の実現にもつながらないのではないかと思います。このため、先般も基地に関係する十三の道と県が共同いたしまして、厚生省や年金福祉事業団に対して、基地は引き続き国の責任のもとに存続させることなどを要望いたしました。 今後とも、こうした考え方を本県の基本的なスタンスといたしまして、重要な要素でございます経営再建の成否、さらには現在の施設の効果的な活用や県民の負担などを考慮しながら、譲渡問題への対応を進めてまいります。 私からは、以上でございます。 (海洋局長森光稔君登壇) ◎海洋局長(森光稔君) 海洋深層水の供給についての質問にお答えいたします。 平成七年十月から実施しております民間の事業者などへの研究開発用の分水につきましては、それぞれの事業者の利用目的に応じまして、海洋深層水の原水に加え、脱塩水や濃縮水の供給も行っており、商品によりましては必要不可欠な原材料となっております。新しい取水施設につきましては、事業用の原水を供給する施設として計画しておりますが、御指摘にもありましたように、自力で脱塩装置を持てない民間の事業者も数多くあります。そういった状況も踏まえまして、こうした方々が今後も安心して事業を進めていけますよう、現在、事業主体であります室戸市と、脱塩水や濃縮水の供給についても具体的なシステムの検討を行っております。 また、新しい取水施設は、室戸市において公営企業として事業経営することといたしております。このため、深層水の供給は有料となります。価格につきましては、投資経費などをもとに事業の採算性を考慮して決定されることになりますが、民間の事業の経営に過大な負担がかからないよう室戸市と協議をいたしております。 なお、お話にもありましたように、海洋深層水は、水産や食品などさまざまな分野での利活用が考えられ、県民の期待も大きいことから、今後とも地場産業の付加価値の向上や新たな企業誘致など、その利活用の拡大に積極的に取り組みまして、東部地域の活性化はもとより、県内産業の振興や交流人口の拡大につながるよう努めてまいります。 以上でございます。 (土木部長井添健介君登壇)
    ◎土木部長(井添健介君) 浜田議員の、東部地域における道路網の整備についての御質問にお答えをいたします。 県の東部地域におきましては、国道五十五号が唯一の幹線道路となっておりますが、香我美町から室戸市までの五十五キロメートルのうち、旧国道あるいは農道等を使いまして、曲がりなりにも迂回路が確保できます区間はおよそ三十九キロメートルでございます。安芸市の下山、奈半利町の須川、あるいは室戸市西山等約十六キロメートルの区間におきましては、代替の手段が全くない状況でございます。 こうした代替ルートのない区間の抜本的な対策につきましては、先ほど知事からお答えがありましたが、その整備にはまだ相当な時間を要する現状となっております。このため、当面の対応としましては、現在の国道五十五号の防災対策を一層充実いたしまして管理の強化を図りますとともに、万一災害が発生をいたしました際には、早期の復旧に向けた体制の充実を図ることが必要と考えております。 御提案のありました市町村道や農道・林道などを活用した代替ルートの確保対策につきましては、構造面などの安全性や費用を含めた整備手法など多くの課題がありますので、庁内の関係部局で構成します高知県地域道路整備計画連絡調整会議で関係機関との調整を含めて、整備の可能性について検討してまいります。 以上でございます。 (副知事河野八朗君登壇) ◎副知事(河野八朗君) 東部地域総合開発計画についてお答え申し上げます。 東部地域総合開発計画につきましては、より実効性のある計画にするという視点で、昨年三月に改訂をいたしたところでございます。そして、その推進のため、関係の市町村長、東部地域選出の県議会議員の皆さん、並びに県とで構成します東部地域総合開発計画推進協議会というのを置いたわけでございますが、そこで、東部地域全体で、あるいは広域のブロックで取り組むべき課題などについて、意見交換を行いながら推進していくことにいたしております。 先日も、この協議会を開催いたしましたが、お話にもありましたとおりでございますけれども、お互いに率直な意見を出し合うという意味では有意義であったと思いました。 この計画を進めるには、やはりそれぞれの事業主体になるものが中心となりまして、積極的に主体的に取り組むことが何よりも先決でございます。したがって、今後こうした協議の場をより充実するために、現在は個別に行っている事務レベルの広域市町村圏の幹事会とか県のワーキンググループの会合などでも、計画の推進の手法とか、あるいは課題とか、その解決策などといった面をもう少し綿密に詰めをするための協議を重ねることが必要ではないかと思います。こうした点に留意をしながら、県と市町村とが一体となって計画の推進を図ってまいりたいと思います。 また、同時に、地方分権の推進など社会経済情勢の大きな変化の中で、今後の地域づくりに当たっては、やはり地域の選択と責任のもとで、地域に根差した発想も生かしていくということが強く求められております。そういった点を踏まえまして、県と市町村の協調もますます重要になると思います。このため、ぜひ地域の皆様からもいろいろなアイデアを出していただきたいと思いますので、この点につきましても県もともに考えていきたいと思いますから、御支援をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 (企画振興部長島田一夫君登壇) ◎企画振興部長(島田一夫君) 阿佐線の整備につきまして、三点お尋ねをいただきました。 まず、点検整備費などについての御質問にお答えをいたします。阿佐線の建設につきましては、鉄道建設公団が建設主体となりまして工事を進めておりますが、地盤が弱く、がけ崩れのおそれのある箇所ではロックネットなどによる防護策を講ずるなど、全国的な鉄道建設の基準にのっとり、安全性に最大限配慮した工事を実施しております。また、既に建設が完了し、その後、長い時間が経過しております施設などにつきましては、公団が全線の開通までに再度総点検を行い、建設予算の中で、その改修や補強などに万全を期することといたしております。 次に、建設予算や七十四億円の借り入れについてのお尋ねがございました。阿佐線の建設予算の確保につきましては、県の重要要望事項として位置づけまして、地元市町村などで組織されております阿佐線建設促進協議会と十分連携をとりながら、国や鉄道建設公団に対しまして継続的に要望活動を行ってきております。また、同協議会におきましては、先般開催しました本年度の通常総会におきまして、厳しい財政状況にありながらも、今後二カ年間で総額七十四億円の借り入れを行い公団に貸し付けるなど、地域として最大限の努力を傾け、平成十四年六月の完成に向けて全力で取り組んでいくことを決議いたしました。 今後におきましては、こうした決議など期限内完成に向けた地元の取り組み意欲や熱意などを国、公団に対しまして訴え続けまして、建設予算の確保に努め、七十四億円を上限とする借入金がこれ以上増加することがないよう全力で取り組んでまいります。 最後に、ダイヤ編成など開業に向けた取り組みについてお尋ねがございました。阿佐線の建設につきましては、先ほどもお答えしましたとおり、十四年六月の完成に向けて取り組んでおります。開業に向けた取り組みにつきましては、既に土佐くろしお鉄道とJR四国などとの間で、阿佐線の土讃線への直接の乗り入れ方法や後免駅での駅業務の共同化などについて、具体的な協議が進められております。 今後におきましては、新潟の北越北線や開業を目前にしています岡山県の井原線などの先行事例にも学びながら、土佐くろしお鉄道やJR四国と十分連携を図り、開業準備室の設置時期の検討など開業に必要な準備を着実に進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 (総務部長高尾和彦君登壇) ◎総務部長(高尾和彦君) 防災関係についての一連の御質問にお答えをいたします。 初めに、水路の転落防止策についてのお尋ねがございました。去る五月十六日の大雨によりまして幼い命が犠牲になりましたことは、まことに痛ましい限りで、御遺族の皆様に対しまして、謹んでお悔やみを申し上げます。 消防行政を所管する立場からは、子供たちに対しまして身近にあります危険な箇所を周知したり、増水した水路や河川に近づかないように注意を呼びかけることなどが、それぞれの地域できめ細かく行われるよう、市町村、消防本部、学校などの機関と連携を図りながら取り組んでまいります。また、水路に防護さくを設置することにつきましては、技術的な問題や設置後の管理などの課題があると聞いておりますが、管理者の判断によりまして設置が進められますよう関係部局に対して要請をしてまいります。 次に、津波対策への取り組みについてでございます。高知県地域防災計画につきましては、平成八年度に見直しを行い、新たに津波対策編を設け、基本的な方針を定めたところでございます。この方針に基づき、高知県南海地震津波防災検討会を設置し、今年度から三年間の計画で、地震による津波の精密な被害予測を行いその防災対策を講じることとしております。 この検討会におきましては、南海トラフを震源とするいわゆる南海地震が、西暦二〇四〇年ごろにマグニチュード八・四の規模で発生するという前提で作業を進めております。具体的に申し上げますと、平成十年度は津波についての正しい知識を得ることや、的確な避難誘導方法の検討などを行い、平成十一年度と十二年度で津波の波の高さの予測や、入り江や河川での波の遡上の予測、危険な地域の特定などを行うこととしております。また、避難場所の周知や避難誘導の標識の設置などのソフト事業につきましても、この検討作業と並行して順次実施していく予定としております。 次に、県庁の本庁舎の耐震性についてのお尋ねがございました。県庁の本庁舎につきましては、平成八年度に実施した耐震性についての調査の結果、大規模な地震が発生した場合には、被害の発生が予測されるという結果になっております。ただ、調査の方法はさまざまな技術的な理論計算や推定に基づいたものでございますので、実際には起きる地震の性質や揺れぐあいによってかなり左右される面があるものと考えております。 次に、県警本部庁舎への防災関係のシステムの移設について御提言がございました。防災関係システムを現在建設中の県警本部庁舎に移転することにつきましては、スペースの問題や平常時における業務上の問題もございまして、困難であると考えております。なお、県庁の本庁舎が使用できないような非常事態が発生した場合には、県警の本部庁舎を初め、その時点で使用可能な県有施設に災害対策本部を設置するとともに、移動ができます運搬型の無線機を用いて通信を確保してまいります。この場合には、NTTや警察、四国電力など防災関係機関のメンバーで構成されております高知地区非常通信協議会の協力が得られる体制になっております。 最後に、庁舎建設基金と県庁舎の耐用年数について御質問がございました。県庁本庁舎の耐用年数は、県の財産規則に基づく評価要領におきましては六十年となっておりまして、現在、建築後三十五年を経過しております。庁舎建設基金につきましては、将来に備え計画的に造成を行うべきものではございますが、現在の財政状況では、率直に申し上げまして、当面積み立てを行うことは困難と考えております。 以上でございます。 (教育長吉良正人君登壇) ◎教育長(吉良正人君) 学校給食現場での食器について、いわゆる環境ホルモンの影響が懸念されるがどのように考え、今後どのように指導するのかとのお尋ねにお答えをいたします。 環境ホルモン問題で使用が懸念をされておりますポリカーボネートの食器につきまして、文部省からは、現段階で解明されている範囲では、使用禁止などの措置をとるに至らないとの厚生省の見解をもとに、食品衛生法で定められた安全基準を満たしておれば特に問題はない、他方、環境ホルモンが人体にどのような影響を与えるのかといったメカニズムなどについては、科学的に未解明な点も多いことから、政府では厚生省などによる調査・研究を進めており、これら関係省庁と密接な連携を図りつつ情報を集め、県に提供していくといった指導を受けております。 県教育委員会としましても、国によるこの調査の動向を見ながら、庁内で組織されました環境ホルモン問題連絡会での協議や関係機関との連携を密にしまして、情報の収集や提供を行いながら市町村を指導してまいります。 以上でございます。 (健康福祉部長山崎淳一君登壇) ◎健康福祉部長(山崎淳一君) 保育所等で使用する食器類の安全性の指導についてのお尋ねにお答えをいたします。 食品衛生法では、食器類を製造する者に対し、基準に合わない物を製造または販売することが禁止をされておりますし、また定期的な自主検査も義務づけられているところでございます。県といたしましては、国が示したマニュアルに基づきまして、保健所におきまして老人施設や児童施設などの巡回などにより食器類の安全性の監視指導を現在行っておるところでございます。 なお、環境ホルモンとの関連につきましては、厚生省や環境庁が行います専門的な調査・研究の推移を見ながら、情報の収集を行い、市町村などに対し必要な情報の提供などに努めてまいります。 お話にありましたメラミン樹脂製の食器には、ホルマリンの溶出基準が定められておりますが、このホルマリンは環境ホルモンの疑いがある物質には含まれておりませんし、そういった意味での心配はないものと考えております。 以上でございます。 (森林局長山本忠道君登壇) ◎森林局長(山本忠道君) 森林保全緊急特別対策事業についての御質問にお答えします。 まず、間伐の実施事業でございます。この事業は、高齢級林の間伐を促進することによりまして、優良材の生産につながる山づくりと森林の公益的機能を高めること、間伐材の搬出を促して素材の安定供給を図ることを目的としています。同時に、事業の実施によって、中山間地域の経済対策としての効果を期待しているものです。 御指摘のとおり、厳しい経済不況が加わりまして、木材価格の下落は著しく、低水準で推移していますが、その中で、これまでに計画の約七〇%に相当する要望が出てきております。これは、木材価格は例年この時期底値の時期に当たり、秋口には上昇するという傾向にあることから、この事業が実質的に動き出す秋口の価格の上昇に対する期待が込められているものと理解をしております。したがいまして、今後の価格の動向がこの事業の執行に大きな影響を与えることになると考えています。予算の枠という制約はありますが、現在の価格水準が続くということになれば、見直しも検討しなければならないと考えています。 次に、作業道の整備に対する補助額についてでございます。作業道の整備は二種類に区分しておりまして、補助額が一メートル当たり千円である幅員が三メートル以上の作業道と、お話にありました補助額が五百円である幅員が三メートル未満のミニ作業道があります。作業道は、地形や、開設を事業者みずからが行うか、請負によって行うのか、また技術の蓄積の度合いなどによりまして開設経費が影響を受けますので、事業主体において現場の状況に応じた工夫を凝らしながら執行できるように、一律の定額制としております。 現在の補助額につきましては、比較的緩やかな地形を想定した単価で設定をしておりますが、作業道の開設現場は徐々に奥地へ入り地形も厳しくなっていることなどもありますので、十一年度に向けては、改めて実態の把握などを行いながら検討してまいりたいと考えています。 以上でございます。 (文化環境部長兵谷芳康君登壇) ◎文化環境部長(兵谷芳康君) 漫画文化を推進する活動への支援についての御質問にお答えいたします。 御承知のとおり、本県は多くの著名な漫画家を輩出しております。県としては、漫画を貴重な文化資源と位置づけておりまして、例えばまんが甲子園を開催するなど、この漫画文化を積極的に活用し、「漫画王国・土佐」を全国に情報発信してまいりました。お話にございましたような、土佐の先人の偉業を漫画で紹介し、ふるさとのすばらしさを後世に継承していくという民間団体の取り組みは、漫画文化の一層の振興や地域の活性化にも結びつく魅力ある活動であると思います。 県としましては、そうした活動に対しては、まんが甲子園で蓄積したノウハウや漫画関係者の情報を提供するなど、ソフト面での協力を行っていきたいと考えております。なお、財政的な支援につきましては、こうした取り組みが具体化された段階で、関係市町村の考え方や事業内容等を検討した上で対応すべきものと考えております。 以上でございます。 ○副議長(東川正弘君) 暫時休憩いたします。 午後二時十九分休憩--------------------------------------- 午後二時四十一分開議 ○議長(土森正典君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 九番中野善弘君。 (九番中野善弘君登壇) ◆九番(中野善弘君) 今期定例会質問も最後となりました。 質問に先立ちまして、去る五月十三日急逝されました故中平和夫先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。 また、さきの参議院議員選挙におきまして、同僚議員でありました森下博之さんが見事当選をされました。まことにおめでたい限りであります。今後におけるますますの御活躍を切にお願いもさせていただきます。 それでは、質問を申し上げます。 初めに、国際交流について質問をいたします。私は、去る六月十二日から二十四日まで、知事を団長とする南米移住地交流訪問団の一員としてブラジル、アルゼンチンに行ってまいりました。今年はブラジルへの移住開始九十周年、さらにはブラジル県人会創立四十五周年に当たり、その記念式典等も含め交流を図ったものです。いずれの国においても盛大な歓迎を受け、喜んでいただき本当によかったと思っています。 訪問により最も感銘を受けたことは、移住された方々の故郷への熱い思いでした。一世の方、二世の方、あるいは三世、四世の方がブラジル、アルゼンチンでしっかりと生活の根をおろしながら、同時にみずからの存在の根源として、日本への、高知県への思いを強く持ち続けておられることを痛感いたしました。特に、今回二世、三世の青年との座談会が行われましたが、印象的であったことは、彼らが母県とのつながりを常に大切にし、しかもそれが失われつつあることを懸念していることです。 彼らは言うまでもなくブラジル人であり、あるいはアルゼンチン人であり、そこに生まれたときから根をおろし、その社会の中でしっかり生きています。ブラジルもアルゼンチンも、人口構成からいえば移民の国であります。私が忙しいスケジュールの中、町を歩き、人々の表情に見た一種の悲しみはそのせいかもしれません。日系の人々、そして高知県出身の人々も同様であろうと思います。彼らは社会的・経済的にはブラジル人、アルゼンチン人であるとともに、そのルーツ、アイデンティティーとしては日本人であることは言うまでもありません。日本人としての位置づけを深くしっかりと確認したいという彼らの思いを感ぜざるを得ませんでした。 また、今度の訪問で、アルゼンチンで木島大使、河西領事、吉原公使と、ブラジルで堀村総領事と懇談する機会があり、その折、中南米の経済、さらには世界の経済に話が及びましたが、中南米の経済も言うまでもなく世界の経済と深くかかわっており、アジアの金融危機の横波に、中南米の経済、貿易も深く影響を受けているという話を聞いたとき、このことの思いを強くいたしました。我々はアジアとのきずなをさらに強くせざるを得ません。 そこで、知事にお伺いいたします。このたび、南米移住地交流訪問団の団長としてかの地を訪れ、本県出身の方、ブラジル・アルゼンチン政府あるいは地方政府の方、かの地に駐在する日本の外交官の方と会われ意見を交わしたところであります。それらの結果を受け、高知県の国際交流として将来も見据えた広い立場からどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 次に、文化環境部長にお伺いいたします。国際交流においては何よりも人が重要であります。海外からの研修生の方が高知にも以前からいらっしゃっており、私も南米でそれらの方に会い大変感銘を受けたところですが、海外からの研修生の研修内容、出身国等についてお尋ねし、そのうち南米諸国からの研修生の動向についてお尋ねをいたします。 また、近時、ODA予算が厳しくなることも懸念されています。日本や我が県が培ってきた技術やノウハウを世界の人々に伝え、よりよい国際社会を構築していくことは我々の義務であり、高知県と関係の深い南米諸国においては特にそうであります。来年度以降、外国の方の研修等にどのように取り組んでいくのか、文化環境部長にお伺いいたします。 次に、二十一世紀への県土づくりについてお伺いいたします。本年三月三十一日、新しい国土計画として全国総合開発計画「二十一世紀の国土のグランドデザイン」が閣議決定をされました。この計画は、二十一世紀を展望する長期構想として、四つの国土軸や多様な主体による参加と連携など、従来の線上にはない新しい発想に基づく計画と言われています。 この全国総合開発計画は昭和三十七年に始まり、第四次までの総合計画に基づいて多くの国土政策が行われてきました。特に交通基盤整備においては、高速道路の整備や架橋プロジェクトなど、その進捗が目覚ましいものがありますが、四国にとっては、平成元年の本州と四国を結びます瀬戸大橋--児島・坂出ルートの開通が最も画期的ではなかったかと考えます。この本四架橋により、四国が島でなく、まるで川の対岸に渡るかのように本州との行き来が可能となりました。また、本年四月の明石・鳴門ルートの開通や四国横断自動車道などの整備の進捗もあって、人や物の交流が、安全に確実に、そして何よりも時間短縮が図られ、経済や産業活動、観光、文化交流などさまざまな分野での効果となってあらわれています。 こうした交通基盤の整備による交流圏域の拡大効果は、まず観光に顕著にあらわれてまいります。昨年度高知市が行った観光調査では、日曜市に年間二百万人が訪れていると推定され、中でも中国地方や近畿地方を初め県外からの来訪者が約四割を占めるなど、高速道路効果を反映している結果となっております。本年四月には明石鳴門海峡大橋の開通や高知自動車道の伊野インターチェンジまでの延伸などがありましたが、五月の連休中の高知自動車道の利用台数は昨年に比べて六二・一%の大幅な増加となっています。このような交流人口の増加による地域への波及効果は大きいものがあります。 さて、本県における国道や県道などの整備は、重要港湾の整備や国体関連施設の整備などとともに高知県総合計画に位置づけられ取り組まれておりますが、今後はこうした整備とともに、いわゆるハードの整備をどのように生かすかというソフトの視点がより求められていると考えます。 今、社会、経済、環境、そして人々の暮らしや価値観は、従来とは大きな変化の時代を迎えています。こうしたことを踏まえてさきの国土総合開発計画も策定されているようですが、本県においても、参加や連携、自然保護や環境への取り組み、また生活の豊かさの確保など、新しい視点での県民主体の計画が求められているのではないかと考えます。現在本県においては平成十二年を目標とする総合計画がありますが、残すところ本年度を含めてあと三年となり、こうした新しい視点に基づく計画づくりの準備の段階に差しかかっているのではないかと考えます。 そこで、高知県総合計画の今後の取り組みについてどのように考えておられるのか、企画振興部長にお伺いをいたします。 次に、交通問題についてお伺いをいたします。県西南地域の社会交通基盤につきましては、国や県の御支援や御協力をいただく中で、関係する市町村や商工会議所などの経済団体、さらには住民の方々が一体となって連携ある取り組みを行っており、着実にその整備が進められているところであります。 まず、陸上交通部門につきましては、大正十一年に予定路線に編入されて以来、まさに地域住民の悲願として取り組んでまいりました鉄道新線宿毛線が、昨年の十月に開業する運びとなりました。その後の経営状況につきましては、沿線の市町村や住民の方々の積極的なバックアップなどもあり、予想以上に好調に推移するなど、地域の発展に大きく貢献しておりますことは既に皆様御案内のとおりでございます。また、西南地域の拠点都市である中村市と宿毛市を結びます中村宿毛道路につきましても、平成十二年度には全体ルートの半ば近くが暫定的に供用開始される見通しとなるなど、高速交通体系の整備が順調に進んでいるところであります。 さらに、海上交通部門につきましては、西日本屈指の天然の良港である宿毛湾港の整備が進んでおり、昭和三十六年に国が定めた第一次港湾整備計画に位置づけられて以来、昭和四十六年には大分県と結ぶフェリー航路が実現するなど、四国と九州を結ぶ海上交通の要衝としての機能を十二分に発揮しており、平成十二年度には広域的な流通拠点としましての港湾機能が、一部ではありますが供用開始される見通しとなっているところであります。私自身はもとよりではございますが、幡多地域で暮らす住民の方々にとりましては、ここに至りますまでにはまさに長い年月を要したという思いはあるにいたしましても、地域発展の原動力となります社会交通基盤の整備が確かに進み始めたなと実感しているのではないかと考えているところであります。 一方、西南地域への空港整備につきましては、コミューター空港としての取り組みを進めてまいりました四万十空港の建設を平成四年度に断念しましてからは、この挫折をばねとしながら、幡多広域の市町村圏協議会を中心にしまして、新たな空港建設に向けた取り組みを継続的に行ってきたところであります。平成五年度には空港建設に必要な基本構想の調査に着手し、その調査結果などを踏まえまして、平成六年六月には空港建設の候補地を宿毛市に一本化したところであります。その後におきましては、空港建設に関するさまざまな手法などについての勉強を積み重ねてまいりますとともに、国や県に対しましては空港建設にかける地元の思いや情熱を訴え続けてまいりました。 その結果といたしまして、幡多広域の市町村圏事務組合が空港建設の出発点となる需要調査に予算を計上することとなり、本年度には県の御支援などもいただきながら西南地域の航空需要調査に着手いたしたところであります。ようやく地元の熱意と県の考え方の一致を見た、いよいよこれからは建設に向けた段階を一歩一歩着実に上り詰めていかなければならないとの思いを強くしているところであります。 しかしながら、公共事業、とりわけ地方空港の建設を取り巻く現下の社会経済情勢につきましては、国や地方の財政事情の悪化、さらには規制緩和や競争激化に伴う航空会社の業績悪化など、極めて厳しい状況にあるのであります。投資に見合う効果が実現できるかどうか、また航空会社の就航見通しはどうかなどについて、常に自己点検を行いながら国や県民全体の理解を得ていかなければならないのであります。 この困難な状況を乗り越えていかに空港建設を進めていくかにつきましては、まさに地域の熱意や取り組み意欲が問われているところでありますが、私どもが先進的な事例として学んできた能登空港の場合では、まず基本に空港建設にかける地域の情熱があったことは申すまでもないところではありますが、それとともに、石川県そのものが空港建設の必要性を認め、積極的に地域をリードしてきたことに我々は学ばなければならないと考えるところであります。 そこで、県として今後西南地域の空港建設に向けどのように取り組んでいくのか、その基本的な考え方を企画振興部長にお伺いをいたします。 また、空港建設には、幾ら順調に進みましても、その完成までにはかなりの年月を要することは避けられないところであります。宿毛線の開通によりまして鉄道の利便性が飛躍的に高まっているところでありますが、最短時間で高知空港にアクセスしてまいりますためには、例えば宿毛駅から、また整備の進む阿佐線などを経由しながら直接空港に乗り入れることのできる鉄道をいかに整備していくかは、今後の本県の交通課題として検討を進める価値が十分にあるのではないかと考えるところであります。高知空港へのアクセスの手段の一つとして空港連絡鉄道にいかに取り組んでいくのか、企画振興部長にお伺いをいたします。 交通問題の最後になりましたが、去る六月十一日に土佐くろしお鉄道株式会社中村線で発生した列車事故についてお伺いをいたします。事故の起こる前日の夕方、テレビで高知関係のニュースを見ておりますと、土佐くろしお鉄道株式会社の取締役会の模様が流れておりました。宿毛線が昨年十月の開業以来、極めて順調に経営が推移していることなどがニュース報道されておりました。ゆったりとした豊かな気分でニュースを見終えたことは申すまでもないところであります。 ところが、好事魔多しとはまさにこのことだとの思いを強くしたところでありますが、翌日の午前中のニュースで、思いもかけない列車事故を知らされたわけであります。知事が提案理由で述べられておりますとおり、地域の信頼によって支えられている鉄道会社にとりましてはまさにあってはならない事故が発生したのであります。安全運行の基本がおろそかにされておりましたことがこのたびの事故の主たる原因とのマスコミ報道などを見るにつけましても、私自身無念の思いをぬぐいがたいところであります。 しかしながら、ほぼダイヤが平常化した翌日からは、人身事故が起きたにもかかわらず、何事もなかったかのように通学や通勤の必要不可欠な手段として学生やサラリーマンなどが土佐くろしお鉄道を利用している姿を見るにつけまして、地域の日常生活に密着した鉄道が果たしている役割の重要性などについて改めて思い知らされたところであります。 私自身も、土佐くろしお鉄道株式会社がこれまで懸命の経営努力を重ねられ、地域住民の信頼などをかち得てまいりましたことは十分に理解いたしておりますが、土佐くろしお鉄道株式会社を愛する方々などからは、この事故の影響などから会社の将来を心から心配する声などを数多く聞くのでございます。こうした人々の不安を払拭していただく上からも、土佐くろしお鉄道株式会社においては、このたびの事故を貴重な教訓といたしまして、信頼回復に全力で取り組んでいただき、一日も早く鉄道マンとしての誇りや責任感を取り戻していただきたいところであります。そのためには、会社自身の一丸となった取り組みが必要なことは今さら申すまでもないところでありますが、これまで土佐くろしお鉄道株式会社が公共交通としての役割が果たせるように積極的にリードしてきた県のサポートも欠かせないと考えるところであります。今回の事故を乗り越え、土佐くろしお鉄道株式会社が再び県民や地域住民の方々の信頼を回復してまいりますため、物心両面にわたります県の積極的な支援を強く要請させていただきたいと存じます。 次に、三原村のふれあいの里整備事業についてお伺いをいたします。このふれあいの里構想は、幡多の総合病院の位置決定に関するさまざまな経緯の中から、三原村宮ノ川地区の地域開発をどのように進めていくのか地域の方々との検討会を行う中で、三原村と県が共同してまとめ上げたものと聞いております。この構想は、若者が定住できるよう働く場所が欲しい、他の地域の人々との交流の場が欲しい、若者が生活しやすい住環境も整備してほしいといった地域の要望にこたえるため、健康福祉ゾーンとして高齢者福祉施設や福祉公園を、交流ゾーンとして観光ハーブ園や平成十四年度開催の国体ラグビー場となる多目的広場を、また定住ゾーンとして住宅団地を整備するなど、職・住・遊をコンセプトに里の空間を一体的に整備しようとするものであります。 今さまざまな準備作業を経て、構想実現へ向けての造成工事が始まろうとしておりますが、三原村にとりましてはまさに村始まって以来の大規模開発であり、工事の施工管理や施設の設計や運営に向けた準備など対応に追われているようにも聞いております。ふれあいの里構想は、三原村の将来のために何としても成功させなければならないものでありますが、工事に入るに当たり、県としてこの事業を円滑に推進させるようどのように支援し育てていくのか、企画振興部長にお伺いをいたします。 次に、関連する道路整備についてお伺いをいたします。ふれあいの里整備構想では、交流の促進が大きな目標の一つとして位置づけられており、メーン施設である観光ハーブ園や多目的広場を整備する計画がなされています。しかし、三原村は幡多地域の既存の観光コースとはかけ離れた地域の上、交通アクセスの整備が必要な地域であります。 今後、早急に整備をお願いしたい交通アクセスといたしましては、大方町を起点として中村市から三原村を経て大月町に至る広域農道の早期完成であります。いま一つは、土佐清水市下ノ加江から三原村を経て宿毛市平田町に至る県道二十一号--土佐清水宿毛線の改良事業の早期完成であります。この両線が三原村をクロスすることによって初めてふれあいの里の交流機能が飛躍的に増大するだけでなく、地理的に幡多郡の中心に位置しながら取り残されている三原村が、住環境面や地域の活力面においてもまさに新たな時代を迎えることができるのであります。 そこで、農林水産部長及び土木部長にお伺いをいたします。中村市から三原村を経て大月町へ至る広域農道の早期完成へ向けて見通しはどうか、また現在改良工事を進めている県道二十一号の取り組み状況はどうなっているのか。交通アクセスの整備は、中山間の条件不利を克服する最も効果的な社会資本の整備であり、これら路線の早期完了に向けた予算の重点配分をすべきと考えるが、両部長の見解をお伺いいたします。 次に、港の振興と港湾整備についてお伺いいたします。まず、高知新港のコンテナ航路についてであります。県経済発展の起爆剤として県内の各層から注目され、大きな期待が寄せられております高知新港は、昭和六十三年の着工以来およそ十年の歳月をかけて、この三月二十六日に待望の一部開港を迎えました。開港直後の二十七日に高知県初の外貿定期コンテナ航路である青島・大連航路が開設されたのに続いて、四月二日には釜山航路も就航し、新設の港としてはまずまずさい先のよいスタートを切ったところであります。 このうち青島・大連航路につきましては、中四国では唯一のリーファー専用船が就航しており、冷凍・冷蔵食料品を中心に扱う特色のある航路となっています。この航路には、県内を初め四国の他県の食品関係企業の利用が見込まれるとともに、高知新港周辺への食品関係企業の集積にもつながることから、本県のFAZが目標としている食品関係の加工拠点形成にも寄与する航路として期待されているところであります。また、釜山航路につきましては、国際的なコンテナの中継基地となっている釜山港を経由して世界の各地域との輸出入が可能であるため、多くの県内企業において幅広く利用できる利便性の高い航路としてスタートしたところであります。 この二つの定期コンテナ航路が就航を開始してから三カ月余りが経過いたしましたが、これまでの取扱実績は二十フィートコンテナに換算して青島・大連航路が約二百三十個、釜山航路が約四百七十個であり、知事の説明によりますと、いずれの航路も貨物の数量が当初の目標に達していないということでございます。 高知新港は、将来水深十四メートルの大型岸壁を活用して国際コンテナの中継港となることを目標としておりますが、この構想は一朝一夕になし得るものではなく、これを現実のものとするためには、現在の一部供用の段階から一歩一歩コンテナ港としての実績を積み上げ、徐々に背後圏の拡大を図っていかなければなりません。その一方で、大水深岸壁やコンテナヤード、そして荷役施設などの整備を進めるとともに、情報化や手続の簡素化などのソフトの充実を図りながら、国際中継港の実現に向けて着実に取り組んでいく必要があると考えます。そういう意味からも、現在開設されている定期航路の健全な運営と着実な発展が、将来高知新港が大きく飛躍する上でも極めて重要だと思うのであります。 しかしながら、同じ四国の中でも各県にコンテナターミナルが整備され、海外との定期航路も既に開設されておりますので、他県の港湾との競争はますます激しくなると考えております。国におきましては、神戸港や大阪港などの大都市港湾に重点投資を行う方針とも伝えられています。また、日本及びアジアの経済不況による企業活動の不振や、円安、消費行動の停滞による輸入の減少が懸念されるなど、高知新港の今後を取り巻く環境は大変厳しいと言わざるを得ません。こうした状況にあって、既に青島・大連航路については週一便の配船に増便されるなど、両航路の利用率を向上させるため関係者が努力されていることは評価できますが、将来の国際中継港を目指すためには現在の航路を一日も早く安定させることが必要であると考えます。 そこで、港湾空港局長にお伺いいたします。青島・大連と釜山との定期コンテナ航路の利用率が伸び悩んでいる原因をどのように分析しているのか、また、こうした現状を打開するため、今後県としてどのように対応をとっていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、宿毛湾港の整備についてであります。物流の経路として平成十二年暫定供用を予定している池島地区から国道五十六号へのアクセスを考えますと、市西部地区の通勤・通学路である市道片島西町線を通過することになりますが、この市道については、幅員が四メートル程度と狭隘であるため大型車両の対面交通が難しい状況にあります。地元では、この暫定供用時に合わせこの市道を改良することが市民生活にも大いにプラスとなる大変重要な事業であると認識し、これまで国や県に強く働きかけてきたところであります。今回の国の総合経済対策において、この市道の整備につきましては幸いにも予算措置がなされたと聞いております。宿毛市民の強い要望があった本事業の採択に当たっては、県の並々ならぬ御尽力のたまものであり、心から感謝を申し上げる次第であります。 そこで、港湾空港局長にお伺いいたします。今回、事業着手が採択されました西町地区の臨港道路の整備目標や事業内容及び取り組みにつきましてどのように考えているのか、また、宿毛湾港の平成十二年暫定供用に向けて、埋立工事など一連の事業の進め方や取り組みについてはどう考えているのか、あわせて御所見をお伺いいたします。 さて、この七月より宍戸新港湾空港局長を運輸省よりお迎えすることとなりました。新局長は、その人柄のよさはもちろんのこと、港湾、空港の分野では大変豊富な知識・経験をお持ちであるとお聞きしており、その行政手腕について大いに期待をしているところであります。今後の高知新港の整備や利活用策、あるいは財政構造改革のもとに公共事業の見直しが叫ばれている中での港湾の整備について、新局長としていろいろとお考えをお持ちであると存じます。 そこで、宍戸新局長に着任の抱負をお聞かせいただきたいのであります。 次に、教育問題についてお伺いいたします。戦後の新しい教育制度のもとで五十数年を経過した我が国の教育は、人材の育成など多方面にわたりすばらしい成果を上げ、今日の社会の繁栄に大きく寄与してきました。しかしながら、社会の成熟化に伴って子供を取り巻く状況が一変し、今、学校にはいじめ、不登校などの新たな課題が発生しております。その解決は緊急の課題となっています。 これまでの教育は学校中心で展開されてきましたけれども、二〇〇二年の学校週五日制の完全実施や二十一世紀に向けた教育を展望するとき、学校はもとより家庭や地域社会がそれぞれの教育機能を発揮し、子供の教育に当たっていくことが重要ではないかと思います。特に、最近の中学・高校生のナイフ事件以来、幼児期からの心の教育の重要性について論議されるようになりました。今こそ学校はもちろん、家庭や地域の自覚と責任によって、知・徳・体のバランスのとれた子供を社会全体として育成しなければなりません。 こうした中で、本県では、土佐の教育改革ということで積極的な取り組みが進められております。その教育改革の大きな柱の一つに、学校・家庭・地域の連携による地域ぐるみ教育の推進が掲げられております。これまで、とかく学校は閉鎖的だとか敷居が高いなど、学校の姿勢や取り組みに対して批判的な声を聞くことが多くありました。本県では、昨年度から地域ぐるみ教育のコーディネーターとして地域教育指導主事を配置し、今年度はその枠の拡大が図られ、三十一市町村に配置していると聞いております。 先日、私は二人の地域教育指導主事を訪ね、その取り組みなどについて話を聞いてまいりました。二人の話によりますと、各学校では開かれた学校づくりの取り組みを通して子供や保護者、地域の人々の思いや願いを聞いたり、地域の人材を活用するなど、これまでの閉鎖的な体質から脱却し、子供中心の新しい学校へとさまざまな取り組みが積極的に行われている様子をうかがい知ることができました。また、地域教育指導主事は、それぞれ市町村の教育委員会に配置されていますが、学校教育、社会教育の壁を感じながらもいろいろな会合に顔を出し、まさにコーディネーター役として日夜奔走されておりました。こうした真摯な取り組みによって、徐々に地域の教育に対する姿勢や意識の高まりが見られるようになっており、私もその取り組みに大きな期待を感じているところであります。 そこで、教育長にお伺いをいたします。開かれた学校づくりの現状や課題、今後の取り組み、また、地域教育指導主事の今後の市町村への配置計画についてどのような展望を持っておられるのか、お伺いをいたします。 最後に、漁業並びに漁港に関連して海洋局長にお伺いいたします。我が国の漁業を取り巻く環境はますます厳しさを加えております。特に、これまで我が国の漁業の一つのシンボルであった遠洋マグロ漁業については、資源の減少や国際的な漁業規制の中で減船問題が間近に迫ってきており、本県への影響も少なくないと心配されるところであります。こうした遠洋近海漁業の衰退に伴って、沿岸漁業の重要性がますます高まってきておりますが、本県の場合、高齢化や後継者の不足による漁業就業者の減少、マイワシ資源の劇的な減少に伴うシラスぱっち網漁業などの極端な不漁や魚価の暴落によるハマチ養殖の廃業など、漁業や漁村はかつてない厳しい局面を迎えております。 このような状況を打破するためには、漁獲物の付加価値を向上させたり、養殖魚のブランド化を推進するなど漁村の活性化に向けた多角的な取り組みが必要ですが、その中核となるべきものはやはり漁業協同組合でなければならないと考えます。しかしながら、本県のほとんどの漁協は組織や事業規模も小さく、厳しい経営を強いられており、その存続さえ危惧される事態であり、経営体質と基盤の強化のためにも一日も早い漁協合併が望まれているところであります。昨年度におきましては、県と県漁連が「十年後県下八漁協構想」を打ち出し、県、系統ともに危機感を持った対応がなされていることについては、心強く感じているところであります。 さて、宿毛湾地区では、この構想の策定に先駆け、平成六年秋から関係二十漁協の合併が検討されておりましたところから、平成九年三月に、本県初の広域合併事例となることへの期待を込めて宿毛湾地区の合併の現状について質問いたしました。その御答弁の中で、とりわけ漁協が抱えている固定化債権や繰越欠損金等が合併の大きな阻害要因となっていることから、これらへの対応策を漁協の関係者が検討中であるという部分が鮮明な記憶として残っておるわけでございます。 そこで、これらの固定化債権や繰越欠損金等について漁協関係者は今後どのような対応をとろうとしているのか、また県としてどのように指導、支援していくお考えであるのか、お伺いいたします。 また、先般の新聞報道によりますと、平成十一年四月を合併実現の目標として設定したことから、今年は大詰めの作業を行う重要な一年となるとのことでありました。残された時間が少ない中で合併を実現するためには、県、系統の強力な支援が欠かせないと考えますが、その支援体制はどのようになっているのでしょうか。 さらに、関係者からは、合併作業がややおくれぎみであるとの話も耳にしております。合併実現の時期に対してはどのようなめどを持っているのかについてもお伺いをいたします。 次に、漁港の整備についてお伺いいたします。漁港は、漁獲物の陸揚げや流通・加工の拠点として魚介類を供給するだけではなく、地域の一般住民にも各種集会や祭りなどを通して広く利用されるなど、漁村地域の活性化に重要な役割を果たしております。県では、これまで県下の漁港の整備水準の底上げを着実に図ってこられましたが、国の財政構造改革や、第九次漁港整備長期計画(平成六年―平成十一年)の二カ年延長などを踏まえ、昨年度、広域的な視点からの機能別拠点漁港の設定を行いますとともに、各漁港の整備予定施設についても投資計画の見直しを行ったところであります。 県の見直し計画は、既に市町村や関係漁協の合意を得ていると承知しておりますが、予定施設の整備を一部中止するなど整備計画が縮小された漁港に関係する漁業者にとりましては、見直し案への合意は国、県の厳しい財政環境への理解と、みずからの漁業活動の生産性の向上や安全性の確保とをてんびんにかけてのぎりぎりの選択であります。このため、県には、少なくとも見直し後の計画については予定期間内に整備を完了し、早期に漁業活動に生かしていく取り組みがこれまで以上に求められていると考えるものであります。 そこで、お伺いをいたします。県では見直し後の計画に基づく各漁港の整備予定施設について、今回の補正予算も含め、現在どのような考え方に基づき整備を進めておられるのか。また、県の財政構造改革のもとで、見直し後の予定施設の十三年度までの整備完了についてはどのような見通しを持っているのか海洋局長にお伺いをいたしまして、私のすべての質問を終了させていただきます。 ありがとうございました。(拍手) (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 中野議員の御質問にお答えをいたします。 私に対しましては、先般の南米訪問の結果などを受けまして今後の国際交流のあり方についてお尋ねがございました。私にはこの一問だけでございますので、少し長めにお答えをさせていただきたいと思います。 まずは、総論でございますけれども、総論で申し上げれば、国際交流を進めますためには、それを担います人づくりや外国人とともに生きる地域づくり、さらには地域の特色を生かしました住民が主体になった活動などが大切だと思います。また、近年では、単なる友好親善や儀礼的な交流だけにとどまらず、お互いの地域の発展のための人づくりなど、実質的で実りのある協力活動も重要になっております。こうした視点から、本県では、地理的な特性を踏まえまして、アジアや太平洋地域の国々との交流や技術協力に重点を置きまして取り組みを進めてまいりました。 お話にもありましたように、今回の南米訪問では、若い世代の方々との交流の機会を多く持ちましたけれども、さまざまな立場の方々と接する機会を持ちます中で、日系人社会の今後の課題として感じましたことが二つございました。そのうちの一つは、日系人社会でも高齢化への対応が大きな課題になってきているということ、もう一つは、世代交代が進みます中での母国日本や母県との関係でございます。 まず、第一の点でございますが、一世、二世を通じて日系人社会も高齢化が進んでおります。今回の訪問でも、ある場所で本県御出身のおばあちゃんとお話をしましたときに、「今振り返ってみて、やっぱりブラジルに来てよかったと思いますか」とお聞きをしましたところ、「これまでの苦労を考えたらとてもそうは言えません」というお答えが返ってきた後で、「私は子供も頑張ってくれているので特段の不安はないけれど、こうした県人会にも出てくることのできないようなお年寄りの中には、子供も頼れない、かといって日本のような保険や年金の制度も整っていないといったブラジルの現状の中にあって、人知れず苦しい、また厳しい老後を余儀なくされている仲間がいっぱいいるのではないか」と言われたことが印象に残っております。 この点、おととし訪問をいたしましたお隣のパラグアイでは、高知県人会の方々が中心になりまして、高齢者のための社会福祉会館のような形の建物を建設されますとともに、自立した運営のあり方も検討をされておりました。県として独自に何ができるという問題ではないと思いますけれども、そうした日系人社会における高齢化の問題は、国のレベルでは今後一定検討すべき課題ではなかろうかと感じました。 一方、世代交代という観点から見ますと、例えば高知県出身の方が愛媛の方と結婚し、その二世が今度は岩手の方と結婚し、その三世が福岡の方と結婚して四世が誕生するといったようなことが繰り返されているわけでございますから、そもそも三世、四世の世代にとって県人会の意味は何かという問題がございます。このためブラジルでは、四国四県の県人会が合同で会合を開くといった試みも行われておりますが、研修生の受け入れをする我々の側も、高知県人会の方は高知県内だけといった形ではなく、四国四県で連携をして受け入れていくというような仕組みも考えていくべきではないかと思いました。 また、先ほど申し上げましたような理由で、県人会の輪郭が不明確になってきているとはいいましても、中野議員のお話の中にもありましたように、若い世代は若い世代なりに、高知県や、また日本に対する期待と強い思いを持っておられることを何回かの懇談の場を通じて私も肌で感じることができました。このため、従来から進めております研修生の受け入れの質的な充実を図りますとともに、インターネットなどを活用しました情報の交換や連携、それに日本語の勉強のための書籍の紹介など、さまざまな交流を通じて若い世代の方々の期待にもこたえていきたいと思います。 また、アルゼンチンでは、首都ブエノスアイレスの郊外で県人会の方々が中心になって花づくりの農業に取り組んでおられますが、バイオの技術の活用や新しい品種への取り組みなど、逆に学ぶ点も数多くございました。こうした技術面での交流も今後の課題かと思いました。 あわせて、高知新港の開港をきっかけに環太平洋の国々との関係が重視をされておりますが、南米諸国との交流も日系人との御縁だけではなく、こうしたアジア・太平洋地域の一環という大きな視点から見ていかなくてはならないのではないかと考えております。 私からは、以上でございます。 (文化環境部長兵谷芳康君登壇) ◎文化環境部長(兵谷芳康君) 国際交流について、海外からの研修生の受け入れに関する御質問にお答えをいたします。 海外からの研修生の受け入れについては、開発途上地域の人づくりを目的に昭和四十七年度に創設されました海外技術研修員受入事業により、アジアや中南米等を中心にこれまで二十七カ国、二百五十九名の研修生を受け入れ、母国の発展に貢献してまいりました。受け入れ分野につきましては、農業や工業、土木技術の分野が中心となっておりますが、近年では情報関連や保健、医療の分野でのニーズも多くなっております。特に南米からの研修生につきましては、ブラジル、パラグアイを中心に五カ国、百十九名で、研修分野は工業、商業、農業など多様な内容にわたっております。 この研修生の受け入れ制度は、県民の国際理解を深める上でも大変重要な国際協力事業であるとの考え方のもとに年々拡充を図ってまいりましたが、制度のもととなる国のODA予算については本年度から向こう三カ年間、毎年一〇%の削減とすることが決定されたところであり、今後大変厳しい状況が予想されます。また、近年では受け入れ機関について固定化する傾向も見られるところでございます。 県としては、この事業の持つ重要な意義にかんがみまして、来年度以降の研修生の受け入れについても引き続き国の予算確保について努力いたしますとともに、多様化する研修ニーズにこたえるため、受け入れ機関の開拓をより一層進めてまいりたいと考えております。特に南米からの研修生の受け入れに当たっては、技術や技能の習得だけにとどまらず、研修先や地域の人々との交流を初め多くの県民とのかかわりの場の提供や、多様なチャンネルを使っての研修ニーズの把握、新しい時代に見合った研修方法などを検討し、研修生が帰国した後も相互に連携・協力できるような人材の育成を図るなど、制度の充実に取り組んでまいります。 以上でございます。 (企画振興部長島田一夫君登壇) ◎企画振興部長(島田一夫君) 大きい項目で三点御質問をいただきました。 まず、県計画の今後の取り組みについての御質問にお答えをいたします。お話にございましたように、新しい全国総合開発計画「二十一世紀の国土のグランドデザイン」では、経済的豊かさとともに精神的豊かさを重視する方向や多軸型の国土構造に転換していく方向が示され、その実現のために、本県に関係の強い多自然居住地域の創造など四つの戦略が示されております。 本県では、こうした方向に加えまして、全国に先駆けて進みます少子高齢化の対応や豊かな自然環境を生かした地域の活性化、また環境をテーマにした先駆的な取り組み、さらには地理的な制約を打破する情報化の推進など、独自の課題も数多く抱えております。同時に、地方分権への対応や行政の透明化、官民の役割の見直しなど、行政自身にもこれまでと異なる仕組みづくりが求められており、二十一世紀における県行政の指針となる新しい計画が必要になってくるものと考えております。 新しい計画は、県民の方々の意向を十分に反映することを初め、先ほど申し上げました課題や状況に柔軟に対応できるスタイルや内容、策定手法などにつきまして総合開発審議会の御意見も伺いながら、本年度から事務的な作業を開始することといたしております。 次に、交通問題の第一点目の西南地域の空港建設問題についてのお尋ねにお答えをいたします。西南地域への空港建設につきましては、県土全体の高速交通ネットワークを整備し、幡多地域の将来的な発展を図っていく上からも検討すべき課題だと考えております。そのため、県としましては、空港建設の是非を検討する際の大前提となります航空需要の調査の実施につきまして、幡多広域の市町村圏事務組合などとも十分協議を重ねまして、本年度の当初予算に一定の支援を行うことといたしております。今後におきましては、本年度に実施されます調査の結果を待ちまして議論を深めてまいりたいと考えております。 交通問題の二問目としまして、高知空港への連絡鉄道についてお尋ねがございました。県としましては、昨年の宿毛線に続きまして現在阿佐線の建設促進に全力で取り組んでおりますが、高知空港への連絡鉄道につきましては、空港を利用される方々の利便性の向上を図っていくためのアクセスの手段の一つだと考えております。この件につきましては、四国の運輸局におきましても研究テーマの一つとして取り上げていただく動きなどがあります。県としましては、そうしたことなども踏まえながら、本県の交通政策として空港へのアクセスはどうあるべきかにつきまして検討を行っていきたいと考えております。 最後に、三原村のふれあいの里整備事業についてお答えをいたします。この事業につきましては、これまでも村ともども整備構想の策定や事業計画の検討、開発に向けての事前準備などに取り組んでまいりましたし、三原村の財政事情なども考慮し、本年度から県単独の補助制度を創設したところでございます。この七月にはいよいよふれあいの里の造成工事が始まりましたが、この事業は三原村の今後の発展への願いが込められた大事業でありますので、県としましても、工事が着実に進むよう技術的な支援を行いますとともに、国庫補助事業の導入等による所要財源の確保や設置される施設の運営計画など、今後とも三原村と密接な連携のもと、魅力あるふれあいの里が実現されるよう努めてまいる所存でございます。 以上でございます。 (農林水産部長安部望君登壇) ◎農林水産部長(安部望君) 三原村のふれあいの里整備事業に関連しての広域農道についてのお尋ねにお答えを申し上げます。 高知西南地区広域農道は、大方町から大月町まで全長四十二キロメートルを、県道約二十キロメートル、市町村道四キロメートル、農道十八キロメートルで結ぶ県西南地域の連携を図る重要路線といたしまして、昭和六十年度から事業の推進を図っているところでございます。この事業は、農道の整備を先行させながら、その進度に合わせまして県道あるいは市町村道の整備を進めるという部局間等の緊密な連携のもとに整備を進めております。現在の進捗状況でございますが、先行している農道区間につきましては、九年度末で十八キロメートルのうち十一キロメートルが概成をしておりますが、全体の進捗率といたしましては約四〇%でございます。 予算の配分につきましてのお尋ねがございましたが、財政構造改革による公共事業の見直しが行われる厳しい状況ではございますが、今回の総合経済対策の補正予算でも追加をお願いしておりますなど、今後とも一層の連携・調整を図りまして早期完成に向けて取り組みを進めてまいりたいと、そのように考えています。 以上でございます。 (土木部長井添健介君登壇) ◎土木部長(井添健介君) 三原村のふれあいの里整備事業に関連をいたしましての道路整備についての御質問にお答えをいたします。 まず、高知西南地区広域農道につきましては、ただいま農林水産部長の答弁にありましたとおり、全体延長四十二キロメートルのうち市道・村道部分が四キロメートルと県道部分が二十キロメートルを占めておりまして、このうち市道・村道につきましてはおよそ三キロメートルが完成をいたしております。 県道につきましては、三原村の中心部を境といたしまして、中村市側が十一キロメートルと大月町側が九キロメートルとなっておりますが、中村市側につきましては、現在三原村の狼内から村の中心部に至る五キロメートルの重点整備を進めております。残る中村市寄りの六キロメートルにつきましては、今後農道整備の進捗状況に合わせて整備を進めることといたしております。また、大月町石原までの大月町側の区間につきましても順次整備を進めてまいります。 一方、県道土佐清水宿毛線につきましては、全体延長約三十四キロメートルのうち未改良となっております土佐清水市から三原村間の十八キロメートルについて整備を進めておりますが、この区間は地形が急峻でカーブが多いことから大部分がバイパスでの整備計画となっておりまして、今後の事業費も百数十億円と多額の経費を要することから短期間での整備は困難な状況でございます。このため、当面の代替ルートといたしまして、この路線に並行しております県道中村下ノ加江線の整備を進めまして、土佐清水市下ノ加江から三原村狼内を経て三原村中心部に至るルートの確保を図ることといたしております。 両ルートともに西南地域を縦貫・横断し、広域的な交流を促進する重要な路線でございますので、今後とも農道、林道などと一層の連携・調整を図りまして、早期の道路ネットワークの形成に向けた取り組みを進めてまいります。 以上でございます。 (港湾空港局長宍戸達行君登壇) ◎港湾空港局長(宍戸達行君) 港の振興と港湾整備についての一連の御質問にお答えいたします。 まず、高知新港のコンテナ航路についてでございますが、高知新港におけるコンテナの取扱量が伸び悩んでいる原因といたしましては、県内の輸出入企業、特に大口の荷主において、寄港の頻度等サービス内容が荷主のニーズに十分にはこたえ切れていないことなどの課題もあり、輸送ルートの切りかえに時間を要している貨物もありますことや、小口の利用者に向けたPRが十分に浸透していないことなどによるものと考えております。また、日本及びアジア諸国における経済の不振や通貨不安などにより、貿易活動そのものが停滞していることも一因であると考えております。 このため、県といたしましては、高知ファズ株式会社を初めとする物流関係の企業と協調しながら荷主企業への働きかけを一層強め、利用貨物の獲得に取り組むこととしております。また、船会社に対しましてもサービス内容の充実を要請してきております。 青島・大連航路につきましては、七月から毎週一便への増便が実現し、利便性が大幅に向上したところでありますが、さらに輸送に要する日数が短縮できますよう、寄港スケジュールの改善についても要請しているところでございます。一方、釜山航路につきましても、荷主の要望を踏まえながら海外における輸送可能地域の拡大などを船会社に対して申し入れることとしてきております。こうした活動を通じまして、より多くの企業に高知新港を利用していただけるよう、今後ともポートセールスに全力で取り組んでまいりたいと考えております。 次に、宿毛湾港の整備についてでございます。西町地区の臨港道路につきましては、宿毛湾港の暫定供用に向け物流の効率化を図るものですが、これが整備されますと、地域にとりましては通勤・通学路のネック区間の解消、さらには平成十四年の国体会場へのアクセス路にも利用できる道路となります。事業の内容は、西町地区と市街地を結ぶ市道片島西町線の未改良区間、おおよそ三百メートルを二車線道路に改良するものでございます。実施に際しましては、臨港道路のルートを一部変更する必要がありますことから、関係機関との協議や港湾計画の一部変更などの諸手続を早急に進めまして、今年度に着手し、平成十一年度末を目途に完成したいと考えております。 また、昨年度に着手いたしました池島地区の埠頭用地などの埋立造成につきましても、引き続き事業の進捗を図り、岸壁やアクセス道路などの整備とあわせまして平成十二年に暫定供用を図りたいと考えております。 次に、着任に際しまして港湾整備に関するお尋ねがございました。港湾の整備には多額の投資と長い年月を必要としますことから、昨今の財政事情のもとでは非常に厳しい状況にあると認識しております。しかしながら、港づくりは産業振興や地域の活性化を促す重要な社会基盤の整備であり、長期的視野に立って一定の先行投資を行うことも必要であると考えております。そのため、地域の選択など国土づくりの新しい流れの中で、本県の実情や地域の要請も十分に踏まえまして投資の効率化と重点化を図りながら、地域の特性を生かした特色ある港湾の整備とその活用に向け、私として精いっぱいの努力をしてまいりたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。 以上でございます。 (教育長吉良正人君登壇) ◎教育長(吉良正人君) 教育問題に関しまして、開かれた学校づくりや地域教育指導主事の配置についてのお尋ねにお答えをいたします。 本県では、教育改革の大きな柱の一つといたしまして、学校・家庭・地域の連携による教育力の向上に取り組んでおります。現在、各学校において、子供たちを初め保護者や地域の方々の意見を学校運営や活動に生かしまして、さまざまな創意工夫を凝らした開かれた学校づくりの取り組みが進められております。また、市町村におきましても、地域の方々などで構成される組織が設置をされまして、開かれた学校づくりの支援を初め子供たちの教育を地域ぐるみで推進する取り組みが行われております。 しかしながら、学校や市町村によりましてこの地域ぐるみの教育の取り組みや意識に差があるのが現状でございます。学校がより地域に開かれたものとなると同時に、子供たちや地域の方々の意見に耳を傾けることが求められております。そして、学校や地域が共通認識を持ち、一体となって子供たちの教育に取り組まなければならないといった課題もございます。 市町村に派遣されました地域教育指導主事は、開かれた学校づくりや地域ぐるみの教育を推進するコーディネーター役としてさまざまな活動を行っておりまして、市町村や地域の方々から評価され、期待もされております。こうした学校や地域での取り組みを支援し、地域ぐるみの教育の機運を全県的に盛り上げるためにも、できるだけ早く五十三の市町村すべてをカバーできる地域教育指導主事の配置に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 (海洋局長森光稔君登壇) ◎海洋局長(森光稔君) 宿毛湾地区の漁協合併についての質問にお答えいたします。 まず、固定化債権などへの対応でございます。宿毛湾地区の漁協合併につきましては、関係する二十漁協と宿毛市、大月町などで構成いたします宿毛湾漁協合併推進協議会がその推進母体となっております。この協議会では、財務部会、事業・組織部会及び業務調整の三つの部会を設置いたしまして、個別漁協の負債の把握と、またその対応策、合併後の漁協の組織、事業等につきまして検討や協議を行っております。 お尋ねの固定化債権や繰越欠損金につきましては、そのうちの財務部会の方で調査いたしまして、その結果では、個別漁協が抱えております金額は全体で約六億五千万円となっております。協議会では、その解決策といたしまして、まず処分可能な遊休資産と内部留保金の活用によります補てん、次に出資金の取り崩し等による補てんといった、まずは個別漁協みずからが最大限の努力を行うことを強く求めていくことといたしております。しかしながら、このような取り組みを行いましてもなお補てんし切れないと予測されます一部のものにつきましては、合併漁協に引き継がれることになります。このため、合併後の漁協といいますのは、引き継いだ欠損金等を償却できる足腰の強い、安定した経営基盤を確立することが必要であります。 県では、現在、宿毛市、大月町並びに系統団体と連携いたしまして、効率的な業務体制による管理経費の削減や、共同販売や新たな加工商品づくりによる販売事業の強化など、経営体質を構造的に改革するための重点的な指導を行っております。今後は、こうした取り組みに加えまして、販売事業を強化するための流通・加工対策に関連した事業等の優先採択、また運営の核となります人材育成への支援など、合併後の漁協が健全な運営を維持するための支援策の充実につきましても前向きに検討していきたいと考えております。 次に、合併に伴います支援体制や合併の見通しでございます。漁協合併の支援体制につきましては、この五月から県漁連の中に系統団体と県の職員で構成いたします合併推進チームを設置するなど、その体制を強化いたしておるところでございます。中でも、宿毛湾地区の合併は、県下八漁協構想の実現に向けたモデル的な取り組みとして大きな波及効果が期待されますことから、構想の最重点地区として位置づけまして、推進チームによります集中指導など、系統団体や地元の宿毛市、大月町と連携いたしまして重点的な取り組みを行っているところでございます。 また、合併時期につきましては、これまでの取り組みの中で財務調査など作業の一部にややおくれも見られましたが、この六月に開かれました合併推進協議会には宿毛、大月両市町並びに関係二十漁協のトップが参加し、来年四月の合併に向けて不退転の決意で取り組むということを全員一致で確認いたしております。県といたしましても、この機運の盛り上がりが目標達成につながりますよう、一層積極的な指導、支援をしてまいりたいと考えております。 最後に、漁港整備に関する質問でございます。漁港の整備につきましては、昨年度に、限られた投資額で漁業の生産基盤をより効率的に整備するという考え方に基づきまして、陸揚げ流通拠点や避難拠点港など広域的な視点から機能別の拠点漁港を設定いたしますとともに、利活用の状況等を踏まえまして整備予定施設を再評価するなど、現行の第九次整備計画の見直しを行いました。 見直し後の計画に基づきます事業の実施に当たりましては、県の財政構造改革を踏まえまして効果的かつ重点的な基盤整備を進めるという基本的な方針に基づきまして、機能別に設定した拠点漁港への重点投資により圏域内の総合的な機能を早期に向上させること、並びに各年度で整備が完了する漁港をできるだけ多くつくり上げ、投資効果を早く発揮させることの二つの視点を特に重視いたしまして施設整備を進めております。今回の補正予算につきましても、こうした考え方に基づきまして提案しておりまして、本年度内には池ノ浦漁港を初め十漁港での施設整備が完了する見込みでございます。 また、見直し後の予定施設の整備につきましては、厳しい財政環境のもとではありますが、作業船の効果的な利用や建設残土の有効利用といった工事コストの縮減に一層努めるなどによりまして、計画期間でございます十三年度末までにはおおむね完了させたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(土森正典君) 以上をもって、議案に対する質疑並びに一般質問を終結いたします。--------------------------------------- △議案の付託 ○議長(土森正典君) これより議案の付託をいたします。 ただいま議題となっている第一号から第二十三号まで、報第一号及び報第二号、以上二十五件の議案を、お手元にお配りいたしてあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。--------------------------------------- △議案付託表 (総務委員会)事件の番号件名第1号平成10年度高知県一般会計補正予算 (文化厚生委員会、産業経済委員会及び企画建設委員会へ付託するものを除く。)第2号県立大学の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案第3号地方自治法第二百三条に規定する者の報酬、期末手当、費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例議案第4号高知県税条例の一部を改正する条例議案第5号過疎地域等における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例議案第10号高知県収入証紙条例の一部を改正する条例議案第13号公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案第14号公立学校職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案第15号高知県監査委員に関する条例の一部を改正する条例議案第22号退職手当の額の決定に関する議案第23号退職手当の額の決定に関する議案報第1号平成9年度高知県一般会計補正予算専決処分報告報第2号高知県税条例の一部を改正する条例の専決処分報告(文化厚生委員会)事件の番号件名第1号平成10年度高知県一般会計補正予算  第1条第2項の規定による「第1表歳入歳出予算補正」  歳出中  第2款 総務費   第10項 環境保全費  第3款 民生費  第4款 衛生費第8号保健婦、助産婦、看護婦等養成奨学金貸付け条例の一部を改正する条例議案(産業経済委員会)事件の番号件名第1号平成10年度高知県一般会計補正予算  第1条第2項の規定による「第1表歳入歳出予算補正」  歳出中  第6款 農林水産業費  第7款 商工費  第11款 災害復旧費   第1項 農林施設災害復旧費  第2条の規定による「第2表繰越明許費」中  第6款 農林水産業費第9号改良普及員資格試験条例の一部を改正する条例議案(企画建設委員会)事件の番号件名第1号平成10年度高知県一般会計補正予算  第1条第2項の規定による「第1表歳入歳出予算補正」  歳出中  第2款 総務費   第2項 企画費   第8項 開発費  第8款 土木費  第11款 災害復旧費   第3項 土木施設災害復旧費   第4項 県有施設等災害復旧費  第3条の規定による「第3表債務負担行為補正」第6号選挙公報の発行に関する条例の一部を改正する条例議案第7号高知県議会の議員及び高知県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例議案第11号高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案第12号高知県有料道路料金徴収条例の一部を改正する条例議案第16号高知市と南国市との境界の一部を変更する議案第17号公平委員会の事務の委託を受けることに関する議案第18号県有財産(事務用機器)の取得に関する議案第19号宿毛湾港整備工事請負契約の締結に関する議案第20号東洋町特定環境保全公共下水道甲浦浄化センター建設工事委託に関する基本協定の締結に関する議案第21号有料道路「高知桂浜道路」、有料道路「浦戸大橋」及び有料道路「仁淀川河口大橋」の事業の一部変更に関する議案--------------------------------------- △請願の付託 ○議長(土森正典君) 御報告いたします。 請第一号「浦戸湾を横断する新たな架橋の建設について」の請願が提出され、その請願文書表をお手元にお配りいたしてありますので、御了承願います。 本請願は、請願文書表に記載のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。--------------------------------------- △請願文書表 (企画建設委員会)請第1号浦戸湾を横断する新たな架橋の建設について (道路課、高速道推進課、都市計画課)要旨 浦戸湾には、湾入口に桂浜と種崎を結ぶ浦戸大橋と、河川に架かる鏡川大橋や新青柳橋があるが、湾の中央部に東西の地域を結ぶ橋がないため、高知市東部にある新国分川橋や葛島橋、青柳橋は、朝晩のラッシュ時に30分以上の慢性的な交通渋滞が発生している。  また、湾を挟む潮江地区と仁井田地区は、工場が多数立地するとともに、その関連産業や運輸業が集中した県下最大の工業地域である。しかし、両地区を最短距離で結ぶ橋がないことにより交通渋滞の発生等、本県の産業経済に多大な損失をもたらしている。  更に、四国横断自動車道が県都高知市を通り伊野町まで延伸されたことや高知新港の開港に伴い、今以上の交通渋滞の発生が予想されるなか、池地区に県市統合病院が建設されることになっており、浦戸湾西部の潮江地区や神田地区などからの通院患者の利便性を図っていく必要がある。  ついては、浦戸湾周辺の道路の慢性的な交通渋滞の緩和と統合病院へのアクセスなど利便性の向上を図っていくために、浦戸湾を横断する新たな架橋の建設に向けた検討を早期に行うよう請願する。請願者高知市潮新町一丁目6-10  浦戸湾に橋をかける会   代表 岡本友文紹介議員中沢潤二 元木益樹 小松 雅 江渕征香 池脇純一受理年月日平成10年7月14日--------------------------------------- ○議長(土森正典君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 お諮りいたします。明二十二日及び二十三日の二日間は、委員会審査のため休会し、七月二十四日に会議を開きたいと存じますが、御異議ありませんか。 (「異議なし」と言う者あり) ○議長(土森正典君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 七月二十四日の議事日程は、議案並びに請願の審議であります。開議時刻は午前十時、本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十七分散会...